1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771330
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柴 啓介 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (40291299)
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Keywords | 喉頭 / 喉頭運動ニューロン / 発声 / せき / くしゃみ / 嚥下 / 脳幹 / 除脳ネコ |
Research Abstract |
喉頭の多機能性発現における脳幹神経機構の一部を明らかにするのを目的に、発声、咳、くしゃみ、嚥下、吸引反射時の内喉頭筋運動ニューロンの膜電位の変化を非動化除脳ネコにて観察した。発声は中心灰白質か橋発声誘発部位の電気刺激で、咳および嚥下は上喉頭神経の電気刺激で、くしゃみおよび吸引反射は鼻咽腔の機械刺激で誘発した。非動化実験なのでこれらの運動は全てfictiveである。喉頭運動ニューロンは呼気相に脱分極する呼気性喉頭運動ニューロンELMと吸気相に脱分極するILMに別けられる。発声時、ELMは強く脱分極した。正常呼吸時斬減性であった膜電位のパターンは釣鐘型へと変化した。ILMの多くは発声中過分極したが、いくつかは脱分極した。咳の呼気相で、ELMの2/3(タイプA)は吸気相から呼気相への切り替わり時に脱分極し、その直後に一過性に過分極し、その後ふたたび脱分極した。1/3は咳呼気相に脱分極が持続した。ILMはタイプA-ELMと正反対の軌跡の変化を示した。くしゃみ時、ELM、ILMはそれぞれ咳時のタイプA-ELM、ILMと同様の膜電位の変化の軌跡を示した。暁下時、ELMは咽頭相の直前に過分極し、咽頭相に大きく脱分極した。ILMは咽頭相に過分極し、その直後に脱分極した。吸引反射時ELMは過分極し、ILMは大きく脱分極した。喉頭運動ニューロンへの中枢性駆動は複雑な興奮と抑制の組み合わせからなり、発声や上気道反射では異なることがわかった。この研究結果は、これらの運動を生成する神経回路を解析する上で基本的かつ重要なデータとなるであろう。
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[Publications] Shiba,K.,Satoh,I.,Kobayashi,N.,Hayashi,F.: "Multifunctional laryngeal motoneurons:an intracellular etudy in the cat" Journal of Neuroscience. 19(in press). (1999)
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[Publications] Satoh,I.,Shiba,K.,Kobayashi,N.,Nakajima,Y.,Konno,A.: "Upper air way motor outputs during conghing and sneeting in the cat." Neuroscience Research. 32. 131-135 (1998)