1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771336
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
角田 篤信 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00280983)
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Keywords | 系統発生 / 中頭蓋窩 / 弓状隆起 / ヒト |
Research Abstract |
・ 昨年に引き続き弓状隆起についての検討を行った。 ヒトの検討:対象は開頭してあるヒト解剖体18体。ならびに未開頭の検体12検体、計44体88側。中頭蓋窩底で骨の隆起が稜線を形成するラインを弓状隆起としその形態について検討した。(1)中頭蓋窩底が全体に平坦であり、はっきりとした弓状の隆起がない:8側13%。(2)単純な一本の弧状の隆起を呈するもの:26側46%、(3)大きな稜線が2本以上見られたり、複雑に分岐した稜線を有するもの:24側40%であった。 次に中頭蓋窩を削開し、前半規管の位置との関係について検討。前半規管の最も中頭蓋窩よりの部位と弓状隆起が重なる検体は33%。半規管の部位並び方向まで一致する検体は5側9%。67%の症例では前半規管の位置、向きと弓状隆起のそれは無関係前半規管そのものの形が中頭蓋窩底の形態に関与した検体は少なく、いわゆる弓状隆起は前半規管のそのものの形態とはあまり関係が無いことが示唆された。 検討したうちのヒト12例については未開頭検体であり、開頭ののち、側頭葉を剥離する際に中頭蓋窩底とその対となる側頭葉裏面について観察ところ、弓状隆起と一致するものはrhinal sulcusと周囲のco-lateral sulciであり、弓状隆起は側頭葉の脳溝に一致する構造物であることが全例で示唆された。なお、一部の検体では半規管の隆起により、側頭葉が半規管と一致した陥凹を形成していた。 故に、弓状隆起の形態に関与する因子として、前半規管の他に脳溝が挙げられるものと推察した。厳密に前半規管に相当する隆起のみを弓状隆起と呼ぶならば、それは頻度の少ない構造物であることとなると考えられた。 上記の研究について、平成10年度の日本耳鼻咽喉科学会総会、ならびに平成11年度ロンドン大学解剖学教室セミナーにて発表した。
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Research Products
(1 results)