1998 Fiscal Year Annual Research Report
Galectin-3の発現を指標とした甲状腺良・悪性腫瘍の鑑別-特に,FNA検体を用いたRT-PCR法による術前診断-
Project/Area Number |
09771350
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
猪原 秀典 大阪大学, 医学部, 助手 (00273657)
|
Keywords | 甲状腺 / 腫瘍 / 穿刺吸引 / galectin-3 / Ber-EP4 |
Research Abstract |
先ず甲状腺組織172例(正常甲状腺58例、腺腫様甲状腺腫3例、濾胞腺腫25例、乳頭癌65例、濾胞癌10例、未分化癌8例、髄様癌3例)におけるgalectin-3の発現を免疫組織化学的に検討した。正常甲状腺、腺腫様甲状腺腫、濾胞腺腫では全例においてgalectin-3が全く発現されていないのに対し、濾胞細胞由来の悪性腫瘍、即ち乳頭癌、濾胞癌、未分化癌では全例においてgalectin-3が強くびまん性に発現されていた。髄様癌では1例においてgalectin-3が散発性に発現されていた。従って、甲状腺腫瘍の穿刺吸引検体におけるgaIectin-3の発現を調べることにより良・悪性の術前鑑別診断が可能であることが示唆された。次に、甲状腺組織172例において上皮細胞特異抗原であるBer-EP4抗原の発現を免疫組織化学的に検討したところ、濾胞細胞由来のものでは未分化癌を除く全例においてその発現が認められた。この結果に基づきmagnetic beadsが付着したBer-EP4を用いて、穿刺吸引検体から濾胞細胞成分を抽出した(immunomagnetic isolation法)。抽出した濾胞細胞成分14例を用いてSDS-PAGEを行い、galectin-3に対するimmunoblottingを施行したところ、9例においてgalectin-3の発現が認められ、5例では発現が認められなかった。手術後の病理組織学的検索によるとgalectin-3の発現が認められた9例のうち8例が乳頭癌、1例が濾胞癌であり、一方galectin-3の発現が認められなかった5例は全例が濾胞腺腫であった。以上より、穿刺吸引検体におけるgalectin-3の発現を検討することにより甲状腺腫瘍の良・悪性術前鑑別診断が可能であることが実証された。
|
Research Products
(1 results)