1997 Fiscal Year Annual Research Report
前庭神経系の可塑性に関する研究-神経栄養因子の遺伝子発現を指標として-
Project/Area Number |
09771357
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
下郡 博明 山口大学, 医学部, 助手 (70226273)
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Keywords | 浸透圧ポンプ / 前庭遠心系 / calcitonin gene-related peptide / グルタミン酸レセプター |
Research Abstract |
まず前庭神経系の可塑性の機構を解明するために、抹消前庭の障害方法の確立を行った。浸透圧ポンプを皮下に留置して、カテーテルで持続的に直接内耳に薬物を注入する方法を行った。本法により内耳毒性を有する薬物ばかりではなく、将来的には内耳にダメ-ジを与えることなく治療薬剤を注入することが可能となる。 抹消前庭障害時には、前庭求心系からの異常入力に対し、前庭遠心系が作用することが予想されるが、その詳細は不明である。障害に対する前庭遠心系ニューロンの対応を、遠心系の化学伝達物質であるcalcitonin gene-related peptide(CGRP)の変化を指標として検討した。障害法は、浸透圧ポンプを用いて緩徐に行ったもの、従来の内耳破壊手術を行ったものの2通りとした。遠心系ニューロンは複数グループ存在することが知られているが、抹消前庭の障害方法を変えることによりCGRPの変化も変わるグループと、障害方法に関わらず同一変化を示すグループが存在した。以上より遠心系ニューロンのなかでも異なる機能を有するものが存在することが明らかになった。また障害法に関わらず同一の変化を示すグループは、頭部偏倚の回復に関係している可能性が予想された。 さらに浸透圧ポンプで内耳破壊を行う際、同時に求心系伝達物質であるグルタミン酸のレセプターのアンタゴニストを内耳に注入すると頭部偏倚の回復が遅延する傾向が出ることが解り、障害時の回復にはグルタミン酸の関与が示唆された。
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Research Products
(1 results)