1997 Fiscal Year Annual Research Report
中耳真珠腫上皮の増殖機序の解明 -特にKGFとIL-1αの役割について -
Project/Area Number |
09771383
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
志和 成紀 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (20235766)
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Keywords | KGF / Interleukin-1 / in situ Hybridization / paracrine regulation / middle ear cholesteatoma |
Research Abstract |
中耳真珠腫における上皮増殖機序は、未だ不明な点が多いが、上皮下の結合組織内の線維芽細胞や炎症細胞などから産生されるサイトカインや増殖因子が影響を与えていることが示唆されており、我々はこれまでにサイトカインの研究を中心に真珠腫上皮の増殖機序を解明すべく検討を行ってきた。 keratinocyte growth factor(KGF)は、正常皮膚において上皮下組織の線維芽細胞から産生され、paracrine型に表皮細胞の増殖を促進するサイトカインである。我々は、真珠腫組織内にKGF及びKGF-receptorのmRNAの局在を同定し、真珠腫上皮の増殖機序においてKGFによるparacrine regulation systemが存在する可能性を示唆した。また炎症細胞が多い傾向にある環境ではKGF及びKGF-receptorのmRNAの発現が強くみられる傾向にあった。すなわち、炎症によって、KGFの産生が惹起される可能性が示唆された。そこで、我々は、ヒト線維芽細胞を用い、細胞培養を行い、KGFの抽出を行い、炎症性サイトカインであるIL-1αを培地に加えることでKGF産生に及ぼす影響について検討する事にした。培養ヒト線維芽細胞に対して、種々の濃度のIL-1αを加え、産生されるKGFをWestern blotting法を用いて半定量的に経時的変化を見る事にした。その結果、IL-1αの存在下ではKGFの産生が亢進する事がわかった。そして、次にはヒト表皮細胞の培養におけるIL-1αおよびKGFの動態を検討している途中である。いずれは、中耳真珠腫患者から摂取した細胞を用いて同様の検討を行いたいと考えている。
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