1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771387
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
大山 義雄 日本医科大学, 医学部, 助手 (50281423)
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Keywords | 頚部誘発眼振 / 深部固有受容器 / 前庭代償 / 頚部振動刺激 / 三次元解析 |
Research Abstract |
身体平衡の維持に、前庭覚、視覚と同様に深頚筋からの深部知覚入力が重要視されており、特にその入力は一側前庭機能障害後の代償に不可欠であることが明らかになっている。そこで、前庭代償の指標として深部固有受容器の適刺激である振動刺激を後頚部に加え(頚部マッサージ器を用いた)、誘発される眼振を用い、頚部入力と前庭代償との関連および頚部入力の前庭系に及ぼす影響について検討した。眼振の詳細な分析のために、頚部誘発眼振をビデオ録画し、画像認識技術を応用した眼球回旋運動解析装置を用い、眼振の三次元(水平・垂直・回旋)解析を行った。対象は、温度眼振検査により判定した一側前庭機能障害者21例の代償期(障害に関連するエピソードから1年以上経過し、めまい等の自覚症状、自発眼振等の他覚所見のないもの)とした。 健常者や前庭機能障害後急性期の症例では、頚部誘発眼振は認めないか、認めても微弱であったが、前庭障害後代償期の症例ではいずれも明瞭な眼振を認めた。認められた眼振の三次元解析の結果、全3成分を伴っていたものが13例、水平、垂直の2成分が5例、水平、回旋の2成分が2例、水平成分のみが1例であった。水平成分は全症例に認められかつその方向がすべて健側向きであった。垂直成分は、右障害で下向き、左障害で上向きが多い傾向であった。回旋成分は、右障害で時計回り、左障害で反時計回りであった。3成分の平均緩徐相速度は、水平、垂直、回旋の順で、水平成分が他の2成分と比べて統計的に有意に大きかった。 以上より、頚部入力が前庭代償に影響を与え、その代償が一時的に崩れ眼振が出現したと考えられた。また誘発眼振の性状から、頚部入力は主に水平系の前庭動眼反射系に影響しているが、それのみならず垂直系前庭動眼反射系にも影響を及ぼしていると考えられた。
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