1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771388
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
池園 哲郎 日本医科大学, 医学部, 助手 (80277491)
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Keywords | 内耳免疫 / 自己免疫疾患 / メニエール病 / 感音難聴 |
Research Abstract |
(目的)我々は、c57blackマウスに牛内耳蛋白を感作すると、高い再現性をもって内耳にリンパ球主体の炎症細胞浸潤が生ずることを示してきた。この現象が自己免疫反応であることを証明するため、リンパ球の受け身移入を行った。(方法)凍結保存した牛側頭骨から内耳膜迷路を取り出し抗原として用いた。サイクロホスファマイドを腹腔内投与後2日目に、抗原とFCAのemulsionをマウス皮下に免疫した。10日後にこのマウスの脾臓、リンパ節、血液からリンパ球を分離し、recipientマウス受身移入した。受身移入後1、2、7、14日目に、内耳及び全身他臓器のリンパ球浸潤を観察した。実験群:蝸牛外リンパ腔に細胞浸潤がみられ、蝸牛基底回転鼓室階に最も著明であった。前庭系、内リンパ嚢には浸潤細胞は観察されなかった。受身移入後1日目:3匹全てに内リンパ水腫がみられ、浸潤細胞数の平均値は6個であった。受身移入後2日目:1日目と比較し浸潤細胞数かなり増加し、平均値は44個、内リンパ水腫は3匹中1匹にみられた。受身移入後7日目:今回検討した中では7日目の動物の細胞浸潤が最も著明で平均54個であった。受身移入後14日目:浸潤細胞数の平均値は12個であった。内リンパ水腫はみられなかった。これら実験群の動物の腎、肺、肝、脳組織には炎症細胞浸潤はみられなかった。対照群:内耳、腎、肺、肝、脳組織に組織学的変化はみられなかった。(考察)感作マウスのリンパ球受身移入により、正常マウス内耳にリンパ球浸潤が惹起された。この結果は、この感作マウスの内耳炎は自己免疫現象であることを強く示唆している。現在、donorのリンパ球を蛍光色素でラベルしてから受身移入を行い、donor由来の細胞が直接内耳に浸潤してることを証明する実験、および受身移入動物の内耳機能の生理学的評価を行っている。
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