1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニモジピンの耳鳴誘発薬剤の効果におよぼす影響-蝸牛血流良およびCAP順応現象の変化につ
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09771391
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
越智 健太郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20214158)
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Keywords | 耳鳴 / サリチル酸 / キニン / 蝸牛血流量 / CAP順応現象 / 蝸牛電図 / ニモジピン |
Research Abstract |
本研究の目的は、耳鳴を起こすことで知られているサリチル酸、キニンのモルモット蝸牛機能(CAP閥値、順応現象)および蝸牛血流量(CBF)、全身血圧(BP)、脈拍、体温におよぼす影響を検討することであった。さらにカルシウム・チャンネル・ブロッカーであるニモジピンの薬剤性蝸牛障害に対する防御機能の有効性を検討し、実際の臨床では耳鳴り患者のCAP順応現象を検討することであった。 まず、正常動物のCAP順応現象のパターンについて検討し、低体温のCAP順応現象に及ぼす影響について報告した。実際の臨床では、耳鳴患者の血清亜鉛値の変化について検討を加え、耳鳴間者において有意に血清亜鉛値が低いことを確認した。また、耳鳴検査装置を用い通常の聴力検査の器機では検討できない高周波数領域の聴力検査の実際の臨床における有用性についても報告した。 実際の実験では、血圧のモニターのための動脈確保、輸液、薬剤投与のための静脈確保にやや困難を認め、また、蝸牛血流量のレーザードップラーのプローブと蝸電図の銀ボール電極を同側のbullaから挿入、固定に困難を有したが徐々に記録可能となってきた。 現在までにサリチル酸投与時には、CAPの閥値上昇を認め、CAP順応現象も著明に小さくなった。この変化は、閥値変化を考慮に入れても有意なものであった。また、蝸牛血流量(CBF)は全身血圧(BP)とともに薬剤投与後は増加するが、徐々に減少し、CBF/BPについて検討すると薬剤投与後に減少していることがわかった。このことから電気生理学的に認めた蝸牛機能の変化は蝸牛血流量の変化に伴っている、あるいは基づいていることが推測された。 キニン投与の場合もサリチル酸とほぼ同様の傾向を認めている。ニモジピン効果については検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 越智 健太郎 他: "耳鳴検査装置を用いた高音域臨床的聴力推定-健常成人における検討-" Otolgy Japan. 8. 12-17 (1998)
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[Publications] Ochi K and Effermont JJ: "Eggects of quinine on neural activity in cat primary auditory cortex." Nearing Research. 105. 105-118 (1997)
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[Publications] 越智 健太郎 他: "サリチル酸、キニンのネコ聴皮質におよぼす影響-自発放電数の変化について-" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 100. 51-58 (1997)
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[Publications] 越智健太郎 他: "低体温の蝸牛複合電位(CAP)順応現象におよぼす影響" Audiology Japan. 40. 231-236 (1997)
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[Publications] 越智健太郎 他: "耳鳴患者における血清亜鉛値-血清亜鉛値と治療効果-" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 100. 915-919 (1997)
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[Publications] 大橋徹、 越智健太郎 他: "実験的慢性腎不全モルモットの蝸牛機能-蝸電図変化、雑音負荷による影響" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 100. 685-693 (1997)
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[Publications] Ochi K et al.: "The usefulness of zinc in the treatment of tinnltus.Proc.of the XVI World Congress of Otorhinolaryngology Head and Neck Surgery Sydney '97 Edited by McCafferty G.,Coman W.,Carroll R." Monduzzl Editore,Bologna Italy 1997, 953-957 (1997)
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[Publications] Kinoshita H, Ochi K, et al.: "Effects of glycerolon early endolymphatic hydrops.Proc.of the XVI world Congress of Otorhinolaryngology Head and Neck Surgery Sydney '97,Edited by McCafferty G.,Coman W.,Carroll R." Monduzzl Editore,Bologna Italy 1997, 893-897 (1997)