1997 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚系におけるNMDA receptorの役割の解明
Project/Area Number |
09771393
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
栗山 博道 関西医科大学, 医学部, 助手 (90268350)
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Keywords | Clutamate receptor / NMDA receptor / mutant mouse / 聴覚系 |
Research Abstract |
マウスNMDA型受容体チャンネルはζ1、ε1〜ε4のサブユニットのcDNAがクローニングされており、ζ1サブユニットはほとんどの神経細胞に存在し、異なるεサブユニットの組み合せにより異なる作用を担っていると考えられている。一方聴覚系の求心性神経伝達物質としてグルタミン酸がその有力な候補として考えられている。そのグルタミン酸はグルタミン酸受容体チャンネルを介して作用すると考えられている。聴覚系においてグルタミン酸受容体チャンネルの局在が生理学的、組織学的にも報告されているが各々のグルタミン酸受容体チャンネルのサブユニットの機能は解明されていない。そこで聴覚系におけるグルタミン酸受容体チャンネルのサブユニットの機能の解明するために三品らが作製したNMDA型受容体チャンネルのサブユニットε1単独と、ε4単独の遺伝子を人為的に欠失させたジーンノックアウトマウスを用いて聴覚系の検討を行った。 我々はIn situ hybridization法を用い、wild型マウスの聴覚脳幹部においてε1及びε4mRNAは蝸牛神経核、上オリーブ核群の細胞に発現する事が観察できた。このことよりε1及びε4サブユニットの上行聴覚伝導路のシナプスに局在することが示唆された。 次にNMDA型受容体チャンネルのサブユニットε1単独と、ε4単独の遺伝子を人為的に欠失させたジーンノックアウトマウスをABRを用いて各々のマウスの聴覚機能の検討を行った。ε4ノックアウトマウスの聴覚機能はABRで閥値上昇を、ε1ノックアウトマウスでは音響負荷後の閥値上昇を認めた。このことよりε1は音響負荷時に何らかの作用を担い、ε4は音響負荷以前に何らかの作用を担っている可能性が考えられた。
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