1997 Fiscal Year Annual Research Report
視覚系に対するヒスタミン及びヒスタミンH3受容体の関連解明のための基礎研究
Project/Area Number |
09771407
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 陽一 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10282063)
|
Keywords | ヒスタミン / H3受容体 / 上丘 / キノリン酸 / フルオロメチルヒスチジン / 視覚系 |
Research Abstract |
成熟ラットで観察された片眼摘出後上丘でのH3受容体のup-regulationの機構の解明のための以下の実験により、本年度は更にその詳細につき検討が可能となった。 視覚系の発達途上にある幼若ラットの視覚遮断モデルにおいては、片眼摘出後対側上丘で[^3H](R)α-メチルヒスタミンの結合の上昇が観察された。ただしその増加の割合は成熟ラットと比較すると低い傾向がみられた。また片眼遮蔽モデルにおいては[^3H](R)α-メチルヒスタミンの結合に変化は見られず、この上丘でのH3受容体の変化には視覚入力の遮断のみでは不十分であり、片眼摘出という除神経が必要であると考えられた。axon sparing neurotoxinであるキノリン酸の上丘への局所投与モデルにおいては、片眼摘出後の対側上丘でのH3受容体のup-regulationは認められず、片眼摘出後に同部位で増加したH3受容体が後シナプス側にあることが推測された。これは従来ヒスタミンニューロン系の自己受容体としてシナプス前にあると言われてきたヒスタミンH3受容体が、後シナプス側にも存在することを示唆するという興味深い結果を示すものであった。ヒスチジン脱炭酸酵素阻害剤である(S)-α-フルオロメチルヒスチジン(FMH)を持続投与したモデルでは、脳全体でH3受容体のup-regulationが観察され、片眼摘出を加えたモデルでは上丘での左右差がFMH非投与モデルと比較して縮小していた。FMH投与によりいわゆるchemical denervationの状態を作った訳であるが、H3受容体のup-regulationはヒスタミンニューロンにおけるヒスタミンの枯渇に対応しての変化と考えられ、またこれにより片眼摘出の効果が減弱したためと考えられた。
|