1997 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮におけるMタイプK^+チャンネルの制御メカニズム
Project/Area Number |
09771414
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高比良 雅之 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (70283108)
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Keywords | 網膜色素上皮 / 角膜上皮 / パッチクランプ / ホールセル電流 / Kチャンネル |
Research Abstract |
平成9年度にはパッチクランプのシステムを組み立て、以下のような実験結果を得た。 1.ラット網膜色素上皮におけるホールセル電流 (1)M型Kチャンネル。ラット網膜色素上皮においては、活性化薬剤(イオノマイシン、アラキドン酸あるいはフェナメイト)を投与しても、M型Kチャンネルは一例も記録されなかった。従ってラットではM型Kチャンネルが元来発現していない、あるいは発現しているとしても未知の抑制機構が働いている可能性がある。今後M型Kチャンネルの制御機構を調べる実験にはウシ網膜色素上皮を用いる予定である。 (2)内向き整流Kチャンネル。ラット網膜色素上皮の全ホールセル電流の優位を占めたのは内向き整流Kチャンネルに由来する電流成分であった。ホールセルパッチ法において十分な濃度のATPを細胞内に拡散させても、このチャンネルの活性は消退(run-down)した。またこのチャンネルのコンダクタンスがpHに依存することを見出した。平成10年度には以上2点の新知見に関してより詳細に検討する予定である。 2.角膜上皮細胞におけるホールセル電流 角膜上皮細胞においてもホールセル電流を記録し検討した。ウシの新鮮角膜上皮細胞では2種類の異なる外向き整流K電流が発現していた。これらうち不活性化しないK電流は新鮮単離ヒト角膜上皮細胞においても観察された。またこれらのKチャンネルが細胞内のある代謝産物により活性化あるいは阻害される実証を得た。従って平成10年度にはこれらの制御機構をより詳細に調べ、その結果を報告する予定である。
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