1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771471
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
福田 紹平 昭和大学, 医学部, 助手 (40266119)
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Keywords | 血管内皮成長因子 / 腫瘍壊死因子 / 新生血管 / リノール酸過酸化物 / 角膜 / 家兎 |
Research Abstract |
これまでラジカル反応物となりうるリノール酸過酸化物を用いた家兎角膜新生血管モデルが報告されており、その際、腫瘍壊死因子(TNF-α)、血管内皮増殖因子(VEGF)が血管新生に関与するものと考えられている。 今回、培養角膜細胞を用いてリノール酸過酸化物投与後のこれらの成長因子の変化について検討した。 ニュージーランド白色家兎より角膜実質細胞を単離、培養し実験に用いた。Confluentになった細胞にリノール酸過酸化物を添加し、細胞培養液と細胞を試料として用い、リノール酸過酸化物、TNF-α、VEGFの測定を行った。試料中のリノール酸過酸化物は、tiobarbituric acid reacting substances(TBARS)として測定した。 リノール酸過酸化物添加前の細胞中TBARSは6.29±1.01nmol/mg CHOL(mean±se)であり、VEGFは581.2±312.7pg/mgTP、培養液中TNF-αは12.78±4.17pg/mgTPであった。 リノール酸過酸化物添加後TBARSは1時間で8.79±1.61nmol/mgCHOLに上昇し、6時間後には添加前値より減少、96時間後には添加前値の3倍に上昇した。 後細胞中VEGFはリノール酸過酸化物添加後1時間で最高値に達し(986.7±361.5pg/mgTP)、48時間後までに測定限界レベル以下になった。TNF-αはリノール酸過酸化物添加後速やかに培養液中で上昇し、12時間後までに測定限界レベル以下になった。 現時点においてリノール酸過酸化物による家兎角膜新生血管モデルにおいて、VEGFの産成、TNF-αの放出において角膜実質細胞の関与が示唆された。 今後さらに角膜内皮細胞及び上皮細胞での成長因産成について検討を行うことにより、眼新生血管の発症の解明に寄与することが期待される。
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