1997 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質形成過程における蛋白分解酵素の局在と機能に関する研究
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09771502
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村上 千景 広島大学, 歯学部, 助手 (60253085)
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Keywords | エナメル質形成 / 蛋白分解酵素 / エナメルマトリックスセリンプロテアーゼ / エナメリシン / 免疫化学 / 免疫組織化学 / エナメル蛋白 |
Research Abstract |
ブタ幼若エナメル質に含まれる数種の蛋白分解酵素のうち、エナメリシンとエナメルマトリックスセリンプロテアーゼl(EMSPl)について、まず、その一部のアミノ酸配列を持つ合成ペプチドを抗原とする抗体の作製と、この抗体を使用してブタの幼若エナメル質を免疫化学的、免疫組織化学的な検索を試み、以下の結果を得た。 1.エナメリシンのcDNA解析より得られた全アミノ酸配列をもとにして、5種類の部位特異的抗体の作製を行った。免疫化学的な解析では、3種類の抗体いずれもが最も高い分子量をもつ蛋白として約44、42kDaの蛋白と反応した。他の抗体はエナメル蛋白と反応しなかった。免疫組織化学的な解析では、基質形成期幼若エナメル質において、エナメル質の表層の免疫活性が認められ、深層にいく程、反応が弱くなった。また、移行期エナメル質表層の反応はそれよりも強かった。以上のことから、エナメリシンは約44、42kDaの蛋白として分泌され、幼若エナメル質表層で主として機能していると考えられた。さらに、移行期ではエナメル蛋白の分解が、基質形成期に比べると急速に進んでいる可能性が示された。エナメリシンの詳細な局在とそれ自身の分解様式等については現在検討中である。 2.EMSPlのcDNA解析より得られた全アミノ酸配列をもとにして、5種類の部位特異的抗体の作製を行った。免疫化学的な解析では、1種類の抗体が約23kDaの分子量をもつ蛋白と反応したが、残りの抗体すべてはエナメル蛋白と反応しなかった。局在に関しては現在検討中である。さらに、分解様式や局在についての正確な情報を得るために、中間部付近のアミノ酸配列をもつ合成ペプチドを抗原とした抗体を現在作製中である。 次に、in situ hybridizationを用いた遺伝子発現に関しては、EMSPlの遺伝子配列をもつプローブを現在作製し、検定中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Dohi: "Immunocytochemical and immunochemical study of enamelin,using antibodies against porcine 89 kDa enamelin and its N-terminal synthetic peptide,in porcine tooth germs" Cell Tissue Research. (in press). (1998)
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[Publications] T.Uchida: "Synthesis,secretion,degradation and fate in forming enamel of sheath protein." Europian Journal of Oral Science. (in press). (1998)
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[Publications] T.Uchida: "Synthesis,secretion,degradation and fate of ameloblastin during the matrix formation stage of the rat incicor as shown by the immunocytochemistory and immunochemistry using region-specific antibodies." Journal of Histochemisry & Cytochemistry. 45(10). 1329-1340 (1997)