1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口唇腺終末部の細胞構成-舌下腺との微細構造学的・細胞化学的比較研究
Project/Area Number |
09771507
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮崎 敏博 長崎大学, 歯学部, 助手 (10174161)
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Keywords | ヒト口唇腺 / 粘液細胞 / 漿粘液細胞 / 微細構造 / 細胞化学 / マイクロウェーブ固定 |
Research Abstract |
ヒト口唇腺終末部を構成する分泌細胞の微細構造と漿液・粘液成分の局在を明確にすることを重点課題とした。Glutaraldehyde/paraformaldehyde及びO_SO4固定液を用いMicrowave固定、エポン包埋した正検試料は各種細胞内小器官の微細構造の保存に優れ、さらに同一試料内で粘液染色(PA-TCH-SP染色)及び漿液成分の免疫組織学的検出を可能にした。分泌細胞は形態的に一見様々な外観を呈するが、それらに含まれる分泌顆粒は全て同様な内部構造を呈し粘液染色陽性であったことから全て粘液型細胞であると考えられた。本研究ではこれらを比較的小型の(0.5-1μm)顆粒をもつ未成熟型細胞と大型の(1-2μm)顆粒をもつ成熟型細胞に大別した。顆粒の粘液染色性は、未熟型細胞では顆粒の量が増えるに従い弱陽性から強陽性になり、成熟型では全て強陽性であった。未熟型と成熟型の顕著な相違点は後者の粗面小包体が幾分拡張し、ゴルジ装置のトランス側に2-3層の粘液染色強陽性の拡張した層板が認められることである。現在色素法とレクチン細胞化学により両細胞型粘液成分の詳細な糖質変化を検索中であるが、成熟型における酸性糖、シアル酸残基の付加が示唆されている。漿液成分リゾチームは、未熟型の分泌顆粒、ゴルジ装置(層板、輸送小胞、TGN、濃縮胞)及び粗面小胞体に局在しており、成熟型では陰性であった。すなわち未熟型は一種の漿粘液細胞であり、口唇腺は電顕細胞化学的に混合腺であると結論された。分泌顆粒に乏しい形態的に未分化細胞に近い細胞は全てリゾチーム陽性であったことから口唇腺の漿粘液細胞は粘液型細胞の成熟過程(前期)において発現される一つの表現型である可能性が示唆された。典型的な混合腺とされるヒト舌下腺漿(粘)液細胞の微細胞構造は口唇腺の未熟型細胞に非常に類似していた。混合腺の漿(粘)液細胞と粘液細胞の関係について増殖・分化因子等を用いた研究に現在展開中である。
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