1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯胚の発育過程におけるFGFとTGF-βの関連性の解明
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09771513
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
中川 敏浩 奥羽大学, 歯学部, 講師 (60217677)
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Keywords | 歯胚 / FGF / TGF-β / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
これまで歯胚の形成や発育については数多くの増殖成長因子が関与することが明らかとなっている。一方、それらのほとんどは上皮系あるいは間葉系のみに作用する因子についての報告であり、歯胚が上皮-間葉系から構成され、さらに上皮-間葉の相互作用により発育が進行することを考える上での一連の歯胚発育のメカニズムを解明するには十分であるとはいえない。 そこで、上皮および間葉系の両者に作用するとされるfibroblast growth factor(FGF)、transforming growth factor-β(TGF-β)が歯胚の発育どのように関与するか、加えて両者の関連性について検索することを目的に、胎生14〜生後100日齢のWistar系雄性ラット下顎切歯(無根歯)および下顎第一臼歯(有根歯)の歯胚を用い免疫組織化学的に検索を行った。 その結果、 1)FGFは歯乳頭内の血管内皮細胞に陽性であったが、その反応性は一様でなく血管の口径や種類あるいは発育段階によっても差が認められた。 2)TGF-βについてはリガンド、receptorともに発育の初期段階では内エナメル上皮に陽性であったが、経時的にヘルトビッヒ上皮鞘部に限局する傾向が認められ、その後、臼歯では歯根の完成とともに反応は消失した。一方、無根歯である切歯では歯胚基底部に反応が持続して認められた。 以上のことから、FGFは細胞の増殖に、そしてTGF-βは分化に関与するものと考えられたが、FGFについては歯種あるいは発育段階における顕著な差異は認められなかった。これらの点を踏まえ、平成10年度ではFGFのtype別の発現とreceptorの分布に加え、in situ hybridizationによる検索を行う予定である。
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