1997 Fiscal Year Annual Research Report
胚の中軸骨格形成過程をモデルとした骨格系組織の発生・分化機構に関する研究
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09771531
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
二藤 彰 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (00240747)
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Keywords | BMP / noggin / 骨格形成 |
Research Abstract |
骨格の形成は、中胚葉(あるいは神経外胚葉由来)の細胞が位置の決定を受け、移動し、さらに周囲の組織(細胞)との組織間相互作用を通じて分化と増殖を繰り返し、骨芽細胞から軟骨細胞への分化の過程をへて、あるいは直接的な骨芽細胞への分化により骨格の形が出来上がる。これらの発生、分化の制御機構を理解する目的で行ってきたこれまでの研究で、成体での異所性骨誘導を指標として単離されたBMPが、胎児での中軸骨格形成の初期にそのリガンドとレセプターが発現し、さらに局所でBMPタンパクを胎児に埋入することにより、以降の中軸骨格形成過程に影響を与えることを示し、BMPが骨格形成過程での制御分子のひとつであることを明らかにした。今年度は、ツメガエル胚でBMPの拮抗分子として報告されたnogginに焦点をあて、nogginの骨格形成過程の制御分子としての可能性について検討した。ツメガエル初期胚の神経誘導ならびに背側中胚葉の決定因子として同定されたnogginが、中胚葉形成の背腹軸決定においてBMPと機能的に拮抗することが示され、その作用はnogginとBMPが直接結合する事によりおこることが報告されている。そこで高等脊椎動物の骨格組織形成においてnogginの作用について検討するため、マウス胎児の主として骨格系組織におけるnogginの発現パターンの解析と、鳥胚を用いたnogginタンパクの埋入によりおこる変化についての解析を行った。マウス胎児9.5日齢胚から15.5日齢胚でのin situhybridization法を用いた解析を行ったところ、nogginは9.5日齢胚での体節に発現が始まり、引き続いて体幹中軸骨格の前駆細胞に発現が見られた。さらに13.5日齢になると、nogginは頭蓋や四肢など他の骨格組織の発生中の軟骨にも強く発現が認められ、一方膜性骨化を行う組織では発現が見られなかった。他の部位では前脳や皮下組織に弱い発現が認められた。nogginの発現部位の近傍ではBMPの発現が見られ特にBMP4とは一部相補的な、またBMP7とは重複した発現パターンを示した。これらの結果からマウス発生過程でnogginは骨格形成組織の軟骨形成期に発現していることがわかった。さらに、鳥胚3日胚の中軸近傍背側にリコンビナントnogginタンパクを埋入させたところ、内在性のBMP並びにMyf5遺伝子の発現が消失した。この作用はBMPタンパクの場合と逆であり、BMPとnogginの作用が拮抗している可能性を示した。これらin vivoでの解析から、nogginは発生中の軟骨に選択的に発現し、BMPと何らの相互作用がある可能性が示唆され、また中軸骨格のパタ-ニングにおいてしているもBMPと拮抗していることが示唆された。また以上の結果からnogginは骨格形成過程での新しい制御分子である可能性が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akira NIFUJI: "Perturbation of BMP digraling insomitogonesis resalted in Vaertebral and Pib Malfornotions in the oxial Iwatble formation" Journal of Bone and Mineral Research. 12・3. 332-342 (1997)
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[Publications] 二藤 彰: "Indian Hedgeloyとnogginの骨格形成への関与" 実験医学. 16・2. 114-119 (1998)