1997 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体の単一ニューロン特性及び海馬体との神経連絡に関する電気生理学的研究
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09771536
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
船橋 誠 岡山大学, 歯学部, 助手 (80221555)
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Keywords | RETROHIPPOCAMPUS / Gamma Oscillation / Slice / Amygdala |
Research Abstract |
この研究は扁桃体及び海馬体(海馬,海馬傍回,海馬支脚,海馬支脚の総称)の単一ニュローンの特性さらにはニューロンネットワークの特性を解明し,扁桃体-海馬体を含む大脳辺縁系の機能について考察するために行なった。SD系の雄ラットを用いて扁桃体及び海馬体を含む脳スライス標本を作製し,フィールド電位と細胞内電位の記録を行った。誘発電位を得るために双極性の刺激電極を用いた。 海馬傍回と傍海馬支脚の単一ニューロンの細胞内記録により,同部の深層(主に第5層)ニューロンが電気刺激により誘発される巨大なバースト発火を示すことが明らかとなった。このバースト発火は同部位に特異的現象で,しかも何ら薬物も用いずに起こり,0.05Hz程度の反復電気刺激でEPSPが増強され,ついにはバースト発火に至ることが分かった。また,細胞内へのカレントインジェクションでは同部の細胞はバースト発火を示さず,シナプス入力が必要であり,しかもより多くのニューロンネットワークがスライス中に健全に存在することが必要であることも明らかとなった。さらにこのバースト発火のはじめの50msから400msの間にガンマオッシレーション(40-100Hz)が観察され,2-30μMチオペントバルビタールにより周期が遅くなり,50μMピクロトキシンで周期が少し早くなることが明らかとなった。これらはガンマオッシレーションの形成にIPSPが関与していることを示唆するものである。 扁桃体の基底外側核及び中心核内にて,海馬傍回の電気刺激に応答するフィールド電位が観察された。潜時が20-40msであり,多シナプス性の神経連絡があることが示唆された。また,基底外側核ではバースト発火が見られ,海馬体のバースト発火及びガンマオッシレーションとの関連を調べるのが今後の課題である。
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