1997 Fiscal Year Annual Research Report
γ線および抗癌剤に対する扁平上皮癌細胞の感受性に及ぼすMn-SODの影響
Project/Area Number |
09771540
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
植田 栄作 高知医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10203431)
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Keywords | Mn-SOD / 扁平上皮癌細胞 / アポトーシス / ミトコンドリア膜電位 / caspase-3 / PARP |
Research Abstract |
扁平上皮癌の治療に資するべく、SOD活性と抗癌剤、放射線に対する感受性、さらにはアポトーシス誘導について検討中であるが、現在のところ、以下の結果を得ている。 1.Cu・Zn-SOD活性は、扁平上皮癌細胞株間に違いがない一方、Mn-SOD活性は細胞株によって異なり、Mn-SOD活性が高いと、γ線、5-FU、ペプロマイシン(PLM)に対して低抗性であった。 2.Mn-SOD活性の低い細胞株では高い細胞株よりも、γ線によるG_2/M期への集積および5-FUによるS期への集積が、より著明であった。 3.Mn-SOD活性の高い細胞株では、各抗癌細胞処理によるミトコンドリア膜電位の低下は弱く、逆にMn-SOD活性の低い細胞株では、ミトコンドリア膜電位の低下は著明であった。 4.ミトコンドリアの膜電位の低下とアポトーシスに関わる。caspase-3活性とは相関し、Mn-SOD活性の低い細胞株では、caspase-3およびPARPの活性化が著明であった。 5.γ線、5-FU、さらには細胞傷害性Tリンパ球により、Mn-SOD活性の高い細胞株では、平均10〜15%の細胞がアポトーシスに陥り、活性の低い細胞株では5〜8%の細胞がアポトーシスに陥ったことより、Mn-SOD活性と細胞傷害性Tリンパ球によるアポトーシス誘導とは逆相関することが明らかとなった。 6.活性酸素の消去酵素に対する阻害剤を実験系に加えると、癌細胞のγ線等に対する感受性、さらにはアポトーシス誘導は亢進するものの、その上昇程度はごく軽度であった。 現在、これらの結果をまとめ、論文を作成中であり、実験としては、Mn-SODのanti-senseを用いて本酵素のアポトーシス誘導における(負の)役割を追求する予定である。
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