1997 Fiscal Year Annual Research Report
耳下腺Ca^<2+>-非依存性ホスホリパーゼA_2の多様性とその生理的機能分担
Project/Area Number |
09771558
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
神谷 真子 朝日大学, 歯学部, 助手 (80181907)
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Keywords | Ca^<2+>-非依存性ホスホリパーゼA_2 / 分泌顆粒膜 / 細胞質 / bromoenol lactone / 細胞内局在性 / 可溶化 |
Research Abstract |
Ca^<2+>-非依存性ホスホリパーゼA_2(iPLA_2)の耳下腺細胞内局在性についての検討は、現在までに各種膜画分においてほぼ終了しており、分泌顆粒膜と腺腔側形質膜でbromoenol lactone(BEL)非感受性iPLA_2の存在を確認している。そこで、本研究では、未検討であった細胞質について新たなiPLA_2の検索を開始した。sn-2位のアシル鎖を放射標識したホスファチジルコリンを外因性基質として用いたところ、細胞質中にCa^<2+>-非依存性のsn-2位脱アシル化活性を検出した。本活性は1)ATP存在下で著しく上昇する、2)Ca^<2+>-依存性ホスホリパーゼA_2の特異的阻害剤AACOCF_3で影響されない、などの点で分泌顆粒由来iPLA_2と類似していた。しかし、本活性はBELによって顕著に阻害されたことから、BEL非感受性の分泌顆粒由来iPLA_2とは異なる酵素であると考えられる。用いた基質等の制約のために本反応がA_2タイプであるか否かは未確認であるが、これらの結果を総合すると細胞質に新たなiPLA_2が存在する可能性が強い。現在、反応経路確定のために適切な基質の選択と実験系の改良を検討中である。一方、これら耳下腺のiPLA_2の相同性を厳密に議論するためには、各酵素の精製が必須である。特に分泌顆粒由来iPLA_2は膜結合性であるため、まず可溶化する必要がある。そこで各種界面活性剤間で分泌顆粒由来iPLA_2活性に与える影響及び顆粒膜タンパク質の可溶化率を比較検討したところ、0.5%Triton X-100処理で顆粒膜タンパク質の約30%が可溶化され、24%のiPLA_2活性が上清に回収された(Mizuno-Kamiya Et al.,1998,J.Biochem.)。可溶化iPLA_2もATPによって顕著に活性化されており、本酵素の可溶化による特性変化はほとんど認められなかった。以上の結果から、Triton X-100が本酵素の可溶化剤として適当であると考えられる。今後は可溶化された分泌顆粒膜iPLA_2および細胞質iPLA_2について、その精製をさらに進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)