1998 Fiscal Year Annual Research Report
正常唾液腺および唾液腺腫瘍における膜接着因子の免疫組織化学的検索
Project/Area Number |
09771591
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
山田 和人 朝日大学, 歯学部, 助手 (50240007)
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Keywords | 膜接着因子 / 唾液腺 / 唾液腺腫瘍 |
Research Abstract |
分子生物学の著しい進歩によって細胞間接着因子について急速に解明されている。この因子の一つであるE-カドヘリンはその裏打ち蛋白であるα、βカテニンを介して細胞骨格であるアクチンと結合し、細胞の形態、機能を変化させる。さらにこの結合の調節はβカテニンのリン酸化によって調節され、EGF,HGFもβカテニンを介して相互関係があることがわかってきている。一方、現在までの当研究室の研究で唾液腺および唾液腺腫瘍における様々な研究によって唾液腺および唾液腺腫瘍の起源細胞についてかなり詳細にわかってきた。しかしながら、唾液腺腫瘍細胞の形態および機能の変化についてはわかっておらず、特に細胞間接着因子の研究は、まだ始まったばかりである。前年度まで研究によって唾液腺および唾液腺腫瘍におけるE-カドヘリン、αおよびβカテニンの局在を検索し、現在、Acta Histochem cytochemに投稿中である。今年度は、昨年検索したE-カドヘリンの細胞質内裏打ちしタンパクであるα、βカテニンとその同種蛋白であるγカテニンの局在を検索するとともに、上皮細胞成長因子(EGF)のレセプターの局在を検索した。その結果、γカテニンでは正常顎下腺、小唾液腺でα、βカテニンと同様に導管細胞の細胞膜に陽性を多形性腺腫ではβカテニンと同様に陰性を、Warthin腫瘍、腺様嚢胞癌ではα、βカテニンと同様に陰性であった。またEGFレセプターの局在は正常顎下線、小唾液腺でE-カドヘリンと同様に導管細胞の細胞膜に陽性を、多形性腺腫、Warthin腫瘍、腺様嚢胞癌とも導管様細胞に陽性を示し、E-カドヘリンときわめて類似した局在を示した。今回の結果と前回の結果を合わせると唾液腺腫瘍におけるE-カドヘリンはEGFレセブターとはきわめて強い相関関係が認められるが、α、βおよびγカテニンとの間にはあまり強い相関関係は認められなかった。
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