1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成タンパク質(BMP)を応用した歯周組織の生物学的再建に関する研究
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09771594
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 豊 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60291233)
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Keywords | 骨形成タンパク質(BMP) / 歯周組織再生 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト下顎大臼歯部のIII度分岐部骨欠損への応用を想定して、サル下顎大臼歯の根分岐部歯槽骨に外科的に骨欠損を作製した後、rhBMP-2の移植を行い、歯周組織再生を検討した。 実験には、成体のカニクイザル2頭の下顎両側第1、第2大臼歯の根分岐部、計8部位を用いた。麻酔下で全層弁を剥離後、頬舌側の歯槽骨および分岐部内の骨を削除してIII度の分岐部骨欠損を作製し、露出させた根面のセメント質をバ-とスケーラーで除去した。rhBMP-2の担体には、(株)山之内製薬より提供をうけたスポンジ状のゼラチン・ポリ乳酸グリコール酸複合体を用いた。実験群にはrhBMP-2溶液を担体に含浸(100μg/100μl)させ凍結乾燥して移植し、対照群は何も移植せず外科処置のみとした。観察期間は12週間とし、術後各週毎に臨床的診査および規格X線撮影をによる骨再生の評価を行った。実験期間終了後被験動物をsacrificeし、通法に従って組織標本を作製して光顕観察を行った。 その結果、 臨床所見:観察期間中の治癒はほとんどの部位で良好であった。しかし実験群の1部位で分岐部の露出が観察され軽度の炎症が認められた。 X線所見:実験群、対照群ともにX線不透過性の亢進が観察された。しかし両群間には、不透過性亢進の速度および観察期間終了時の不透過度に明らかな差は認められなかった。 組織学的所見:rhBMP-2を移植した実験群では骨、セメント質の著明な再生が観察された。さらに再生した骨と歯根面とのアンキロ-シスは観察されなかった。一方対照群においても、骨およびセメント質の再生が観察されたが、その程度には差が認められなかった。 これらのことから下顎根分岐部III度の骨欠損にrhBMP-2 PLGA/ゼラチン複合体を担体として応用する治療法が有効であることが示唆された。
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