1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病巣におけるT細胞の遊走ならびに制御機構の解析
Project/Area Number |
09771611
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学部, 助手 (30263304)
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Keywords | 歯周病 / T細胞 / RT-PCR / 競合PCR / 細胞遊走因子 |
Research Abstract |
歯周病巣局所におけるT細胞の遊走ならびに制御機構を解析する目的で、本年度はT細胞の遊走ならびに制御に関与する各種因子mRNAの発現状態と歯周病の病態の関連性を検討した。 健常人ボランティアならびに種々の臨床所見を示す歯周炎患者から各種臨床的パラメーターの診査を行った後、歯周ポケットを有し炎症所見を示す部位と、歯周ポケットを有さず炎症所見を示さない部位をそれぞれ選択し、微量組織穿刺採取法にて歯肉試料の採取を行った。この歯肉試料をもとに総RNAの抽出ならびに逆転写反応を行いcDNAを合成したが、この際、各試料から得られるmRNA量は各試料間で一定ではなくmRNA量の定量を行う必要があった。しかしながら、各試料より得られるcDNAが微量で通法では定量が不可能であったため、GAPDHの人工的中間欠失変異遺伝子を作成し、これを競合鋳型としてPCR反応系に加えた競合的PCRを行うことで各サンプル中のGAPDH mRNA量を定量する系を確立した。このGAPDHの人工的中間欠失変異遺伝子の作成ならびに精製にDNAスピードバックを使用した。このようにして調整したcDNAを鋳型とし、T細胞遊走、制御に関与する因子であるIL-2,4,8,15,IFN_γに特異的なプライマーを用いて半定量的PCRを行った後サザンブロッティングにてシグナルを検出した。その結果、歯周組織局所においてはT細胞遊走、制御に関与する各種液性因子のうち、IL-8,IFN_γmRNA発現が歯周炎患者の歯肉炎指数の高い部位で強い発現を示した。また、IL-15mRNA発現は、すべての被験部位で検出され、しかもその発現は臨床所見にかかわらずほぼ一定であった。一方、IL-2ならびにIL-4のmRNA発現はいずれの試料からも検出できなかった。 次年度は、defensin等のT細胞遊走、制御に関与する因子の発現の検出も検討している。
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