1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771613
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河野 隆幸 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (80284074)
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Keywords | 歯周病 / 自己免疫疾患 / 自己抗体 / インスリン依存性糖尿病 / GAD抗体 |
Research Abstract |
歯周病は歯肉溝への細菌感染によって惹起される感染症である。しかしながら疾患の進行には多くの宿主要因が複雑に関与するため,患者個々で一様でない。申請者らはかねてから歯周病の発症と進行に歯周組織構成成分に対する自己免疫反応が関与する可能性があると報告してきた。本年度は代表的な自己免疫疾患であり,更にその合併症の一つとして歯周病を併発するインスリン依存性糖尿病(IDDM)に注目し,IDDM患者の血清中に歯周組織構成成分に反応する抗原があるかどうか,またあるとすればそれは度のような抗原であるかを検討した。その結果多くのIDDM患者の血清中に歯周組織構成細胞(歯肉線維芽細胞,歯根膜線維芽細胞)由来抗原に反応する自己抗体を検出した。その分子量は64kDaと38kDaのものであった。この64kDaの歯周組織構成抗原は市販の抗GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)抗体と反応した。GADは,抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ絡酸(GABA)をグルタミン酸より合成する酵素で,主に脳のGABA作動性ニューロン神経終末に高濃度に局在する。しかし膵ラ氏島細胞(中でもβ細胞)にも存在しており,IDDMにおける代表的な自己抗原であるとともにIDDMの発症に関与するものと考えられている。GAD抗体の陽性率は発症早期IDDM患者で38〜76%とされている。今回のこの結果はIDDM患者において産生されるGAD抗体が歯周病によって破壊・遊離された歯周組織由来の細胞成分と交差反応し,その結果歯周病による組織破壊をさらに進行・悪化させる可能性を示唆しているものと考察される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takayuki Kono: "Host defensive,immunological,and microbiological observations of an early-onset periodontitis patient with virus-associated hemophagocytic syndrome." Jonrnal of Periodontology. 68・12. 1223-1230 (1997)