1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯根膜細胞における炎症性サイトカイン発現に対するインターフェロンの影響-リポ多糖(LPS)および腫瘍壊死因子(TNF-α)レセプターシグナルの調節機構-
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09771630
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
作田 哲也 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (20284888)
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Keywords | リポ多糖 / 血管内皮増殖因子 / 歯根膜細胞 / 単球 / マクロファージ / 根尖性歯周炎 |
Research Abstract |
本研究では,根尖性歯周炎におけるサイトカインネットワーク破綻の機序を明らかにするために,まず,炎症惹起物質によるサイトカイン発現誘導のメカニズムについて検討した.ヒト歯根膜細胞においては,Prevotella intermediaのリポ多糖(LPS)の刺激により,骨吸収に関与していると考えられるインターロイキン(IL)-6や走化性因子であるIL-8の蛋白産生およびmRNA発現の増加が認められた.一方,根尖性歯周炎の成立に関与していると考えられる単球/マクロファージについても,LPSおよび合成リピドAの刺激により,マクロファージの遊走や炎症性の血管増殖に関与すると目される血管内皮増殖因子(VEGF)の蛋白産生およびmRNA発現の増加を認めた.単球/マクロファージの細胞表面にはLPSレセプターの一つであるCD14の発現が知られており,LPSが誘導するVEGF mRNAの発現もCD14を介していることを確認した.さらに,転写因子の解析および阻害実験の結果から,LPSが誘導するVEGF mRNAの発現には,少なくとも一部では,転写因子SP-1が関与している結果を得た.このように,根尖性歯周炎の成立には,種々の細胞から産生されるサイトカインの増加あるいは減少に伴うサイトカインネットワークの破綻が関与している可能性が示唆される.今後,歯根膜細胞や単球/マクロファージにおける,炎症性サイトカイン発現調節機構について,レセプターの挙動および転写因子の活性化に着目し研究を展開する予定である.
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