1997 Fiscal Year Annual Research Report
コンポジットレジン修理歯の歯髄反応・歯髄歯におけるアポトーシス関与の検討-特にc-junおよびjun-B両遺伝子を発現する歯髄細胞との関連について-
Project/Area Number |
09771632
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
北村 知昭 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (50265005)
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Keywords | c-jun / jun-B / アポトーシス / 歯胚 / 歯髄 / コンポジットレジン修復 |
Research Abstract |
今日までに私達は細胞の分化・機能発現に重要な役割を果たしているc-jun、jun-B両遺伝子がウシ歯胚の象牙芽細胞系列においてのみ発現していることをIn situ hybridization法を用いて明らかにした。特にjun-Bは幼若象牙芽細胞においてのみ強く発現していることから、jun-Bが象牙質形成初期の活発な幼若象牙芽細胞において特異的な役割を果たしていることが示唆された(1997, J. Dent. Res., 76:822-830)。これらの結果はラット歯胚においても確認している。さらに私達はラット上顎第1臼歯近心面にClass Vの窩洞形成を行い、術後1日、3日、5日、7日および14日目の修復象牙質形成時の歯髄細胞におけるc-jun、jun-Bの発現を検討した。未処置のラット歯髄ではc-junは象牙芽細胞層で発現していたがjun-Bは全ての歯髄細胞で発現していなかった。しかし一旦窩洞形成を行うとc-jun、jun-B両遺伝子が窩洞直下の歯髄細胞に発現することが明らかになった。このことよりc-junは初期、二次、および修復象牙質の全過程を通して象牙質形成に関わる細胞の転写制御に関与すること、またjun-Bは初期および修復象牙質形成といった活発に象牙質の形成を行っている細胞の転写制御でのみ特異的な役割を果たすことが示唆された。これらの結果は第39回歯科基礎医学会(1997,北九州)、第107回日本歯科保存学会(1997,福岡)で報告しており、また現在投稿準備中である。今後は、ラットに形成した窩洞にコンポジットレジンや酸化亜鉛ユ-ジノールセメントなどの各種修復材料を充填し修復材料直下での歯髄細胞におけるc-jun、jun-Bの発現およびアポトーシス細胞の出現を検討し、アポトーシスとこれらc-jun、jun-B遺伝子の関係を検討していく予定である。
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[Publications] C. Kitamura: "Expressions of c-jun and jun-B proto-oncogenes in odontobiasts during development of bovine tooth germs" Journal of Dental Research. 76・4. 822-830 (1997)
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[Publications] 北村知昭: "九州歯科大学附属病院第1歯科保存部を受診した初診患者の調査-1994年度〜1996年度-" 九州歯科学会雑誌. 51・6. 707-715 (1997)