1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性菌由来プロテアーゼによる線維芽細胞の細胞死の発現機序の解明
Project/Area Number |
09771634
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
森 真理 北海道医療大学, 歯科保存学第一講座, 助手 (30275490)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / Protease / Apoptosis / Bacterial adhesion / Human gingival fibroblast / Periodontitis |
Research Abstract |
歯周病原性菌であるPorphyromonas gingivalis (P.gingivalis)が産生するプロテアーゼは,歯周病の発症と進行に深く関与していると考えられているが,その詳細については全く不明な点が多い。申請者は歯周組織の主要な構成細胞であるヒト歯肉線維芽細胞(HGF)培養系を用い,P.gingivalis由来プロテアーゼが歯周病の進展においてどのように病原性を発揮しているかを明らかした。P.gingivalis381株培養上清より,トリプシン様活性を持つプロテアーゼを抽出精製した。そしてP.gingivalis由来プロテアーゼのHGFへのcytotoxic effectsを調べた。その結果,P.gingivalis由来プロテアーゼはHGFを細胞死へと導いた。またこの細胞死は,DNA fragmentationの確認および7A6抗原の発現をFACScanにより確認できた事によりアポトーシスである事が明らかとなった。さらに,P.gingivalis由来プロテアーゼ刺激によりHGFが細胞死へ至る過程において,一時的にHGF細胞膜上に接着分子の発現が増強され,その接着分子へP.gingibalis381株菌体そのものが付着することが確認できた。すなわちプロテアーゼ刺激により,HGF細胞膜上に付着したP.gingivalis菌体数が,プロテアーゼ刺激しないものと比較して増加したという興味深い結果が得られた。 以上の結果より,P.gingivalisより産生されるプロテアーゼは,歯周組織の破壊を病態の特徴とする歯周炎において,宿主細胞をアポトーシスという細胞死へ導く重要な因子である事が示された。本研究結果より,P.gingivalisプロテアーゼは,歯周病の発症進展において,歯周炎局所の宿主細胞膜上に接着分子を発現させそこに菌体自らを定着させる。そして歯周炎局所のプロテアーゼ濃度をさらに高め,宿主細胞を死に導き歯周組織を破壊して行くという役割をもつ可能性を示唆した。
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[Publications] Pao-Li Wang: "Porphyromonas gingivalis protease preparation induces apoptosis in human gingival fibroblasts" A rchives of Oral Biology(in press).
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[Publications] Mari Oido: "44kDa protease from Porphyromonas gingivalis 381 enhances the adherence of Porphyromonas gingivalis to fibroblast" JADR(1997.12,徳島).
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[Publications] Mari Oido: "Porphyromonas gingivalis由来システインプロテアーゼの歯肉線維芽細胞への影響" 病態と治療におけるプロテアーゼとプロテアーゼインヒビター研究会(1998.8,名古屋).