1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成タンパク質およびホスホホリンを用いた直接覆髄剤の開発に関する研究
Project/Area Number |
09771635
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (40265070)
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Keywords | 歯髄保存療法剤 / 骨形成タンパク質 / ホスホホリン / 石灰化 |
Research Abstract |
象牙質の石灰化に重要な役割を有していると思われるフォスフォフォリンの機能に関してin vitro実験を行った.その結果,石灰化誘導のためにフォスフォフォリンのリン酸基が主要な役割を占めており,石灰化誘導の際のフォスフォフォリンと誘導された石灰化物との間の界面張力を測定したところ,ハイドロキシアパタイト上の結晶成長時の界面張力に匹敵する値であった.また,フォスフォフォリンが脱リン酸をうけた場合には,カルボキシル基とリン酸基の共同作用が石灰化誘導のために重要となることが明らかになっている.また,フォスフォフォリンが石灰化を誘導するためにはそれが共有結合されるための不溶性支持体が必要であるが,支持体となるコラーゲンに関しては,コラーゲン線維の構造を種々変化させて,つまり,インタクトなコラーゲン線維,テロペプチドを除去したアテロコラーゲン,コラーゲンの還元性架橋を安定化させた還元コラーゲン線維の3種類のコラーゲン線維にフォスフォフォリンを共有結合させたところ,コラーゲン線維の安定化,つまり,支持体の安定化がフォスフォフォリンの共有結合の安定化につながり,石灰化誘導能を増強させることが明らかになった. また,骨形成タンパク質の支持体として,コラーゲン線維に構造が擬似しているガラス線維を用いて,ラットの皮下結合組織内に骨形成タンパク質・ガラス線維複合体を移植したところ,良好な硬組織形成が確認され,骨形成タンパク質の支持体として臨床応用の可能性が示唆された. 今後は,フォスフォフォリン・骨形成タンパク質・線維性支持体複合体を用いて歯髄保存療法剤の開発を行う予定である.
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