1997 Fiscal Year Annual Research Report
根面齲蝕進行過程の解明とその齲蝕進行抑制法に関する研究
Project/Area Number |
09771636
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
永井 康彦 北海道医療大学, 歯学部・北海道医療大学, 助手 (60281284)
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Keywords | 実験的根面齲蝕 / セメント質 / 脱灰 |
Research Abstract |
1.ヒト抜去歯に実験的根面齲蝕様脱灰巣を形成し、形態および脱灰過程を経時的、連続的に観察し、特にセメント質の組織構造と脱灰との関係について検討した結果,脱灰巣におけるコンタクトマイクロラジオグラフィー(MR)の特徴的所見として,X線不透過層と透過層のlaminationの構造を認めた。この要因としては,溶解したミネラルが深層で停滞,再沈着したこと,および内層の有機質にミネラルが沈着した可能性が示唆された。しかし,種々の脱灰pH,浸漬時間によりこの発現が異なっていた。すなわち,セメント質を保存した状態で根面にこのlaminationを形成するためには,pHが高く(pH5.5以上),Ca^<2+>,PO_4^<3+>等のイオンが歯質に対して過飽和な脱灰条件の設定が不可欠であると考えられた。また,このlamination内は,ミネラル濃度が異なる領域がサンドイッチ状構造の中央に観察され,再石灰化および脱灰の進行程度が各層の内部で均一ではないことが明らかとなった。現在,このlaminationにおけるミネラル分布の総合的評価を行なっており,laminationが,耐酸性すなわち齲蝕(脱灰)進行抑制にどのように影響しているか,今後より詳細に観察・検討していきたい。 2.実験的根面齲蝕歯を用いて各種薬剤(NaF,APF,SnF2等)の齲蝕進行抑制効果について検討を行なった結果,フッ化物処理群が未処理群よりミネラル増加量は有意に高く,特にAPF溶液処理した場合に著明であり,根面の齲蝕進行抑制効果が確認された。しかし,フッ素取り込みと齲蝕進行抑制効果の関連で問題になるのは,獲得されたフッ素の維持安定性である。今後この維持安定性について検討を加えていきたい。
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