1997 Fiscal Year Annual Research Report
IL-4、IFN-rのヒト歯肉および歯根膜線維芽細胞におけるPGE_2産生制御機構
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09771644
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮澤 康 昭和大学, 歯学部, 助手 (90219775)
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Keywords | 歯肉線維芽細胞 / 歯根膜線維芽細胞 / プロスタグランディンE_2 / サイトカイン / ホスホリパーゼA_2 / シクロオキシゲナーゼ / ノーザンブロット |
Research Abstract |
プロスタグランディンE_2(PGE_2)はアラキドン酸カスケードを経て産生される炎症性メディエーターであり、その生物学的活性、特に骨吸収活性は歯周炎の病態形成に深く関与している可能性がある。ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)と歯根膜線維芽細胞(HPLF)に炎症歯周組織中において高濃度に存在するサイトカインであるIL-1βを添加すると、時間的(0-24時間)、濃度依存的(0.025-25ng/ml)にPGE_2産生を促進した。また、Th1,2細胞が産生するIFN-γとIL-4のHGFやHPLFに及ぼす影響を調べたところ、IFN-γとIL-4の単独添加はPGE_2産生に影響を与えなかったが、IFN-γあるいはIL-4とIL-1βとを同時に添加した場合は、IL-1β単独添加で誘導されたPGE_2産生は有意に抑制された。このPGE_2産生に至る過程において、細胞膜のリン脂質に結合するアラキドン酸は、そのエステル結合がホスホリパーゼA_2(PLA_2)により加水分解されることで細胞内に遊離してくる。その後シクロオキシゲナーゼ(COX)やリポキシゲナーゼによってさらに代謝され、PGE_2やロイコトリエン、リポキシンなどへ変換される。そのカスケードの中で、PLA_2とCOXは律速酵素としてPGE_2の産出量を調整していることが知られている。PLA_2には分泌型ホスホリパーゼI、・型(sPLA_2)と細胞質ホスホリパーゼ(cPLA_2)の2種類の存在が知られており、COXにも1と2の2種類のタイプが存在することが知られている。そこで、HGFとHPLAにおけるこれら酵素の発現をノーザンブロット法にてmRNAレベルで検討したところ、IFN-γあるいはIL-4とIL-1βとを同時に添加し、PGE_2産生がIL-1β単独添加で誘導された時より抑制されている条件では、COX-2のmRNA発現が有意に抑制されていた。しかしながら、COX-1はメッセージ発現レベルが低く、またsPLAとcPLA_2はその発現に変化が見られなかった。現在までのところ、IFN-γとIL-4はIL-1β刺激により誘導されるPGE_2産生をCOX-2発現を制御することにより調整していることが分かった。
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