1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラット根尖病巣の治癒過程における神経線維の分布,動態に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
09771667
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
山田 和彦 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (40289567)
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Keywords | 根尖病巣 / 創傷治癒 / 神経線維 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
実験的に発症させたラット根尖病巣に根管処置、根管充填を行い、その後の治癒過程を病理組織学的に検索し、さらに神経線維の役割を検索するためにCalcitonin Gene-Related Peptide(以下、CORPと略記)およびProtein Gene Product9.5(以下、PGP9.5と略記)の抗血清を用いて免疫組織学的に検索し以下の知見を得た。 1. CGRP含有神経線維は露髄・開放後5週経過時において、膿瘍周囲の肉芽組織内に不規則な網目状を呈して密に分布していた。 2. 露髄・開放後5週経過時にて認められた多くのCGRP含有神経線維は、根管充填後経時的に減少傾向がみられ、6週および10週経過すると病巣全体にわたって著しく減少した。 3. CGRP含有神経線維は、線維芽細胞の増殖部や破骨細胞に一致して分布をとるものが多く、また破骨細胞の減少時期に一致して減少したことから、線維芽細胞の増殖および骨吸収の抑制などに関与している可能性が示唆された。 4. PGP9.5陽性神経線維は肉芽組織内へ血管とともに新生してくるものや、血管とは別に分布するものが認められた。 5. PGP9.5陽性神経線維は、根管充填後6週まで経時的に増加傾向が見られ、10週では6週とほぼ同様の分布量であった。 6. 根管充填後6週以降CORP含有神経線維が著しく減少していたのにもかかわらず、PGP9.5陽性神経線維が多数認められていた。このことは根管充填後6週以降、膿瘍周囲は肉芽組織となり病巣内の組織構築がほぼ終了したため、炎症反応やそれに伴う痛みが消失しCGRPが作用する要因がなくなったことを示唆すると考える。
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