1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯の喪失によるストレスが個体の内分泌、免疫系に与える影響について
Project/Area Number |
09771675
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
向山 仁 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00242214)
|
Keywords | 歯牙欠損 / 咬合機能異常 / ストレス / 全身状態 |
Research Abstract |
近年、咬合機能と全身機能の相関が注目されている。臨床においては、歯科治療による咬合機能の改善により、肩凝り、情緒不安定、全身倦怠感などが解消する症例が多く認められることから、咬合機能障害とこれらの不定愁訴との関連が推測される。この様な現象は一般的には咬合機能の異常により全身にストレスが及んだ結果と考えられているが、これらの相関については、まだ報告がない。本研究においては咬合機能異常とくに歯牙欠損により生じたストレスが全身に及ぼす影響について検討した。 実験方法 実験群として、Adult(13週齢)またはRetired Ratにネンブタール腹空内麻酔下にて上顎右側臼歯の抜去を行った。対照群は無処置とした。3か月間以上飼育した後にクロロホルム麻酔下にて屠殺し、体重、顎骨および大腿骨の骨塩量、さらに副腎、胸腺、脾臓、肝臓、子宮、胃、腎臓の重量を測定した。 平成9年度の結果 Adult Rat(13週齢)を用いて抜歯を行った実験群においては、対照群に比べて体重に大きな変化はみられなかったものの、子宮重量に有意な減少が観察された。骨塩量については、実験群において減少傾向にある部位もあったが、有意な差はなかった。Retired Ratを用いた実験においては、各個体の体重に差が大きく、また、その他の測定についても同様で抜歯による影響について考察できるような結果は得られなかった。 考察および結論 今年度の実験の結果において、比較的若いRatでは、子宮重量が有意に減少し、かつ顎骨の骨塩量も減少傾向にあることから、咬合機能異常(歯牙欠損)により生じたストレスが全身に何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。しかしながら、不明瞭な点が多く今後さらなる検索を行う予定である。
|