1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の嚥下・発音障害に対するスピーチエイドを用いた新たな医療法の開発
Project/Area Number |
09771686
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 久永 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80273697)
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Keywords | 鼻咽腔閉鎖機能 / スピーチエイド / 発音 / 嚥下 / 頭位 / 口蓋帆挙筋 / 口腔内圧 / 鼻咽腔閉鎖不全症 |
Research Abstract |
体位の変化ならびにスピーチエイド装着による鼻咽腔閉鎖機能の調節機構にもたらされる影響について検討するために、被験者の体位を水平位から座位までに変化させた際の嚥下ならびに発音時の鼻咽腔閉鎖機能を、鼻咽腔閉鎖の主たる筋である口蓋帆挙筋活動を指標にして検討を行った。 すでに保有するポリグラフ装置に角度トランスデューサ、角度アンプを付加した実験装置を構成した。今回の実験では、体位の変化のなかでも嚥下ならびに発音時の鼻咽腔閉鎖活動にもっとも影響を与えると考えられる頭部の位置変化について測定可能なように設定し測定を行った。この実験装置を用いて、音声信号ならびに口蓋帆挙筋筋電図原波形・積分波形、口腔内圧の測定を同時に行った。被験対象としては、健常者ならびに鼻咽腔閉鎖不全症を呈しスピーチエイドの装着が必要な症例とした。 実験の結果をコンピュータを用いたデータ解析装置によって分析を行ったところ、健常者では頭部を正面を向かせたときあるいは頭部を前屈させ頚部を弛緩させたときと比較して、頭部を後屈させ頚部を伸展させたときには、口蓋帆挙筋筋電図積分値は有意に高い値を示した。このことは、頭部を後屈させ頚部を伸展した状態では鼻咽腔閉鎖のためにより高い筋活動が必要であることを示唆している。一方、鼻咽腔閉鎖不全症例においても健常者と同様な結果が得られた。このことから、健常者において頭部を後屈させ頚部を伸展させた姿勢では鼻咽腔閉鎖が困難であり、鼻咽腔閉鎖不全症を呈する症例の場合には特に、鼻咽腔閉鎖を必要とする運動(発音・嚥下)には頭部を後屈させない姿勢の望まれることが示唆された。
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