1997 Fiscal Year Annual Research Report
顎口腔系の状態と姿勢,特に重心動揺との関連について
Project/Area Number |
09771725
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
島田 淳 日本大学, 歯学部, 助手 (70277458)
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Keywords | 顎口腔系と全身状態 / 顎関節症 / 重心動揺 / 平衡機能検査 / 咬合と全身機能 |
Research Abstract |
顎関節症患者の中には、顎口腔系の不調和の他に全身症状、不定愁訴を訴える者も多く、また歯科治療の結果これらの症状の軽減、消失が併せてみられることもある。このことは顎口腔系と全身状態との間の関連を示唆するものと思われる。当教室ではこれまで、これらの関連を明らかにする事を目的として、一連の研究を行っており、顎関節症、実験的咬合の変化および義歯装着の有無などが全身状態に影響を及ぼすことの可能性について確認しつつある。そこでさらに顎口腔系の状態と全身状態の関連を確認していくためには、顎口腔系の状態についての評価を適切に行うとともに、症例数を増加して行くことが必要と思われる。そこで今年度において、顎口腔系の審査により健常と判断した被験者を基準として、当病院補綴科に来院した顎関節症患者を初診時のプロトコールによる審査をもとに、重心動揺の大きさと臨床症状との関連について検討したところ以下の知見を得た。1.重心動揺距離が健常者の平均値の±1SDの範囲内にある群においては、主訴、初発症状ともに疼痛の割合が多く、範囲を超える群においては主訴として疼痛と開口障害が、初発症状として顎関節雑音の割合が高く、症状発現から来院までの期間が長い傾向にあった。2.現症において重心動揺距離が健常者の平均値の±1SDの範囲を超える群においては顎関節雑音、クローズドロックに関して範囲内の群よりも大きな割合を示す傾向にあったが、筋痛においては、大きさにより著明な差は認められなかった。3.随伴症状においては重心移動距離が健常者の平均値の±1SDを越える群の方が多くの症状を示す傾向にあった。以上より顎口腔系の長期に渡る変化は、それのみにとどまらず全身状態にまで影響を与えている可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 島田 淳: "顎口腔系の状態と全身状態との関連に関する研究 IV-7 顎関節症患者における聴性脳幹反応と臨床症状について" 日本顎関節学会雑誌. 9・1. 236- (1997)
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[Publications] 島田 淳: "顎口腔系の状態と全身状態との関連に関する研究 VII-1 水平的下顎位の偏位が顔面および頸部の皮膚表面温度に及ぼす影響" 日本捕綴歯科学会雑誌. 41. 127- (1997)
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[Publications] 島田 淳: "顎口腔系の状態と全身状態との関連に関する研究 IV-8 聴性脳幹反応と下顎頭の形態について" 第10回日本顎関節学会妙録. 113- (1997)
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[Publications] 島田 淳: "顎口腔系の状態と全身状態との関連に関する研究 IV-9 聴性脳幹反応と下顎頭の形態について(その2)" 日本捕綴歯科学会雑誌. 41. 100- (1997)
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[Publications] 武田友孝: "顎口腔系の状態と全身状態との関連に関する研究 咬合支持域の大小が頭頸肩部筋力に及ぼす影響" デサントスポーツ科学. 18. 89-100 (1997)
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[Publications] 中島一憲: "顎口腔系の状態と全身状態との関連に関する研究 重心動揺と頭頸部諸筋群のバランスとの関係" 日本全身咬合学会誌. 2・1. 59-65 (1997)
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[Publications] 本田雅彦: "下顎頭肥大の2例ならびに本邦における文献的考察" 日大歯学. 71・5. 815-829 (1997)
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[Publications] 石上惠一: "顎口腔系の状態と全身状態との関連に関する研究 咬合のアンバランスなスポーツ選手の重心動揺軌跡について" 体力科学. 46・5. 439-444 (1997)
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[Publications] 本田和也: "顎位不安定と閉口障害" Dental Diamond. 増刊号. 13-14 (1997)