1998 Fiscal Year Annual Research Report
全部床義歯機能時の床下粘膜における負担圧緩和法の検索
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09771731
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
東條 敏明 鶴見大学, 歯学部, 助手 (90288118)
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Keywords | 筋電図 / 下顎運動 / 局所負担圧分布 |
Research Abstract |
全部床義歯機能時の床下粘膜における負担圧緩和法の検索とそれに伴う顎機能への影響について検討することを目的に,平成9年度は軟質裏装材を貼布することによる負担圧の緩和と顎機能への影響について考察した.平成10年度は全部床義歯の咬合様式が筋電図,下顎運動,義歯床下粘膜の局所負担圧分布に及ぼす影響について検討した. 被験者は本学歯学部附属病院において新しく全部床義歯を製作した,顎堤条件の異なる無歯顎患者2名とした.被験者の新義歯の人工歯は可撤式にし,同一被験者にリンガライズドオクルージョン(以下L.O.とする)とフルバランスドオクルージョン(以下F.O.とする)の咬合様式を付与できるようにした. 結果 1. 咬みしめ時における負担圧分布はL.O.を付与した義歯において舌側に圧が集中する傾向を示した. 2. タッピング運動において,筋電図および下顎運動からはL.O.とF.O.に違いは認められなかった. 3. 咀嚼運動において,下顎運動経路から,矢状面においてはL.O.で側方への経路の広がりが大きく,F.O.では咬合相付近での経路の集中が認められた.また速度においてはF.O.では咬合相付近での経路の幅が広がった.これはL.O.に比べF.O.では咬合接触面積が大きく,遁路が少ないために食品の流れが悪くなったことが原因と考えられた.以上の結果からF.O.ではより大きな咀嚼力が必要になることが予想され,これを負担出来る顎堤と安定した顎位が必要と考えられた.L.O.では食品粉砕能には劣るものの,運動経路の自由度が大きく,相対的に必要とする咀嚼力を小さくできることから,吸収した顎堤や負担能力の少ない顎堤に有利と考えられた. このことから負担圧の緩和法の検索に関して,まず顎堤条件による適切な咬合様式の選択が必要であると考えられた.今後,人工歯の材質,義歯床面積の違いが負担圧の緩和および顎機能にどのような影響を及ぼすか検討していく予定である.
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