1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における粘膜上皮の悪性化に関与する遺伝子変異の解析
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09771740
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 裕 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90250464)
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Keywords | 口腔癌 / 多段階発癌 / P53遺伝子 / doc-1遺伝子 / DMBA / ハムスター / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
申請者は口腔癌における多段階発癌の機序を解明する目的で、DMBA誘発ハムスター頬嚢粘膜癌の実験系を用い複数の遺伝子異常を経時的に観察してきた。その結果、発癌過程の後期ではp53遺伝子の変異が重要な役割を果たしていることがわかったが早期において関与する遺伝子は不明であった。そこで今回、最近ハーバード大学のWongらが本実験系から単離、同定したdoc-1という新しい腫瘍抑制遺伝子に着目し、正常粘膜から前癌病変を経て早期癌が発生するどの段階でこの遺伝子の発現異常が起こるかを検索した。生後6週齢の雄のゴールデンハムスターを用い0.5%DMBAミネラルオイル溶液を週3回、隔日に12週間に亘って左頬嚢粘膜全体に塗布した。13週以降は観察期間とし、3週、6週、9週、12週、14週、16週、18週、20週、22週、24週の各時点で各群ごとに屠殺し核酸抽出用と病理組織学的検索用試料を採取した。ノーザンブロット法でdoc-1遺伝子の発現を経時的に観察し、どの時期から発現が消失するかを検索することにした。はじめに頬嚢粘膜、肝、脳の3種類の正常組織と、18週から24週のなかで病理組織学的にも筋層深く浸潤した進行癌での発現を調べた。結果は、いずれの正常組織、進行癌からも発現が認められた。doc-1は腫瘍抑制遺伝子のため、正常組織では発現するが腫瘍組織では発現が低下することが予測されたが、進行癌においても発現の低下が認められずかえって正常の頬嚢粘膜よりも発現が増加した。腫瘍細胞にdoc-1遺伝子の変異が起こることにより、過剰発現が認められた可能性もあり今後、多数の進行癌での発現を調べる予定である。
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