1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔外科手術にともなう全身的炎症反応の制御に関する研究-サイトカインの血中レベルおよび遺伝子発現を指標とした評価-
Project/Area Number |
09771759
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮脇 卓也 岡山大学, 歯学部附属病院, 助教授 (00219825)
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Keywords | 口腔外科 / 手術侵襲 / 炎症反応 / インターロイキン6 / 遺伝子発現 / RT-PCR |
Research Abstract |
本研究の目的は口腔外科手術の手術侵襲によって、活性化するサイトカインの反応を薬剤投与によってどのように制御できるかを血中レベルおよび白血球(単核球)でのサイトカイン遺伝子の発現を評価することによって検討することである。 本年度は口腔外科手術時に一般に使用される薬剤として全身麻酔薬の影響を検討し、手術侵襲によって産生される代表的な炎症性サイトカインの一つであるインターロイキン6(IL-6)に特に注目した。 1.方法 (1)全身麻酔薬として吸入麻酔薬であるセボフルレンを使用 (2)採血:麻酔導入前・手術開始1時間後・手術終了時・手術終了2時間後・術翌日 (3)血中IL-6レベルの測定:ELISA法(最低検出感度0.7pg/ml) (4)単核球中IL-6mRNAの定量測定:totalRNA抽出・cDNA合成・競合的RT-PCR (5)術翌日の臨床検査値-発熱・白血球数 2.結果 (1)血中IL-6レベルは手術によって徐々に上昇し、手術終了2時間で最高値になった。 (2)単核球中IL-6mRNAは手術開始1時間で上昇したが、手術終了2時間には低下し、術翌日には再度上昇する傾向がみられた。 (3)血中IL-6レベルと術翌日の臨床検査値には関係が認められた。 以上の結果より、口腔外科手術において血中IL-6レベルと単核球中IL-6mRNA発現とには関連が少なく、手術中の血中IL-6レベルの上昇は術部の由来ではないかと考えられた。さらに、術翌日からの血中IL-6の上昇には血球由来のIL-6が関与していると考えられるが、吸入麻酔薬自体には白血球IL-6産生抑制作用があるのではないかと推測された。
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