1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯胚細胞の増殖・分化にかかわる遺伝子発現の解析
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09771763
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
林 英司 徳島大学, 歯学部付属病院, 講師 (50173000)
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Keywords | ヒト歯胚細胞 / 細胞外マトリックス / 受容体チロシンキナーゼ / 遺伝子発現 / 増殖・分化 / 細胞成長因子 |
Research Abstract |
歯の発生や形態形成において歯乳頭の間葉系細胞と上皮系細胞は、細胞間相互作用によりそれぞれ象牙芽細胞やエナメル芽細胞へと分化する。われわれは、歯の発生や形態形成のメカニズムを解明するための一貫として歯胚に由来する細胞に着目し、in vitroでその性状について検討している。 本研究においてヒト歯胚細胞におけるコラーゲン、非コラーゲン性タンパク質、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)および受容体型チロシンキナーゼの遺伝子発現についてReverse Transcription-Polymerase ChainReaction法にて検討したところ、タイプIコラーゲン、タイプIIIコラーゲン、オステオポンチン、オステオネクチンおよびALP mRNAの発現が認められた。また、EGFレセブター、PDGFレセプター(β)、FGFレセプター1、FGFレセプター2、HGFレセプター、インスリンレセプターやAxIなどの受容体型チロシンキナーゼのmRNAが発現していることも確認した。さらに、EGF、PDGF、FGFおよびHGFなどの細胞成長因子による増殖や分化について検討したところ、EGF、PDGF、FGFおよびHGFは濃度依存的にその増殖を促進していた。また、EGF、PDGFおよびFGFは濃度依存的にALP活性を抑制したが、興味深いことにHGFは、その活性を逆に促進していた。 以上のことからヒト歯胚由来細胞はコラーゲン、非コラーゲン性タンパク質、アルカリ性ホスファターゼおよび受容体型チロシンキナーゼなどさまざまな遺伝子を発現しており、しかも種々の細胞成長因子が歯胚細胞の増殖・分化の調節因子として作用していることが示唆された。
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