1998 Fiscal Year Annual Research Report
視床髄板内核群および腹側基底核群における侵害受容ニューロンに及ぼす笑気吸入の影響(拮抗薬投与および疼痛抑制系賦活の影響)
Project/Area Number |
09771774
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
岩本 将嗣 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (20223430)
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Keywords | 視床髄板内核群 / 腹側基底核群 / 侵害受容ニューロン / 笑気 / 疼痛抑制系 / ラット / 三叉神経 / スパイク発射数 |
Research Abstract |
今回の研究では、麻酔下のラットにおいて、三叉神経系を含んだ感覚入力の伝達路である視床髄板内核群の侵害受容ニューロンに対して侵害刺激を与えた時のスパイク発射活動を、ガラス管微小電極を使用して観察した。単一ニューロンの細胞外電位を導出し、規格化した自然刺激(ブラッシング、ピンチ等)で、受容野の確認と機能的同定を行った。空気吸入時の自然刺激に対する単一ニューロンのスパイク発射を観察しコントロールとした。その後、笑気吸入を開始し同一の刺激を繰り返し観察した。発射活動は、すべてデーターレコーダーに記録・保存し、実験終了後、スパイク発射数のヒストグラムを作成し最高発射数による検討を行った。また実験終了時には、記録部位を色素マーキングしたうえで、組織を固定・保存しておき、後日組織学的に確認した。同様に、腹側基底核群(後外側・後内側)の侵害受容ニューロンに対しても、一連の観察・記録および組織学的確認を行った。 視床髄板内核群は、侵害受容性情報伝達の上行路に含まれ、情動反応や痛みに対する行動に関与していると考えられている。また腹側基底核群の被殼領域に分布する侵害受容ニューロンは、脊髄神経および三叉神経領域の知覚の上位中継核の一つで、体部位局在性を有し、刺激を受けた部位の特定に重要な役割を担っている。昨年からの実験では、視床髄板内核群および腹側基底核群の侵害受容ニューロンの多くで、笑気吸入によりスパイク発射数の減少が認められた。さらに本年度は、生体内疼痛抑制系賦活として中脳中心灰白質を電気刺激したところ、笑気吸入の場合と同様な発射数の減少が認められた。また、マルチバレル型電極を用いて、記録部位への拮抗薬(ナロキソン)局所投与を試みたが、適切な投与条件の設定が複雑であり、その評価は今回は困難であった。
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