1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨基質タンパクと移植腫瘍の増殖分化との関連およびその遺伝子の発現について
Project/Area Number |
09771786
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
坂巻 秀明 昭和大学, 歯学部, 講師 (50201520)
|
Keywords | 移植腫瘍 / 石灰化 / オステオポンチン / バイグリカン / m-RNA / 骨肉腫 / 軟骨細胞株細胞 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
当教室では、ヒト下顎骨に生じた骨肉腫をヌードマウスに移植し、現在も継代・維持している。この移植腫瘍は、組織学的に移植1ヵ月後は未分化な間葉系細胞様細胞が、2ヵ月後に軟骨細胞様細胞が、3ヵ月後には腫瘍中心部に軟骨様組織が形成される。これらの所見は成長軟骨の分化過程に類似しており、この移植腫瘍は、ヒト軟骨の初期石灰化機構を研究するうえで極めて有用なモデルになると考えられる。 骨基質タンパクは、石灰化と密接な関係があると言われているが、in vivoの系での報告は認められていない。そこで前回、この腫瘍の石灰化とオステオポンチンの局在を免疫組織化学的に検討し、加えてm-RNAの発現を検索した。そして今年度は、引き続きこの移植腫瘍の石灰化とバイグリカンの局在および、そのm-RNAの発現について検討した。実験方法は、オステオポンチンの時と同様に1、2、3ヶ月で動物を屠殺し、各ステージで凍結切片を作製。冷アセトンで10分間固定し、一次抗体は抗バイグリカン抗体(1:250)で40分、二次抗体はFITCで標識した抗ウサギIgGブタ血清で反応させバイグリカンの局在を検索した。また、m-RNAについてはin situ hybridization法で検索した。その結果、移植1ヵ月後の腫瘍にはバイグリカンとそのm-RNAの発現は認められなかったが、移植2ヵ月後の軟骨細胞様細胞には、弱いバイグリカンの局在とそのm-RNAの発現がまた、移植3ヵ月後の肥大軟骨細胞様細胞に強いバイグリカンの局在とそのm-RNAの発現が認められた。これらの所見はバイグリカンの時と同様の結果であり、バイグリカンもオステオポンチンと同様ヒト軟骨の石灰化と密接な関係がことが示唆された。
|