1997 Fiscal Year Annual Research Report
貯血式および希釈式自己血輸血によるサイトカインの変化
Project/Area Number |
09771787
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山嵜 博義 昭和大学, 歯学部, 助手 (10239949)
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Keywords | 自己血輸血 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
自己血輸血による免疫系への影響を検討するため、口腔外科の下顎枝失状分割咬合改善術において、無輸血群、貯血式自己血輸血群(貯血群)、希釈式自己血輸血群(希釈群)の3群について、各群の血液中炎症性サイトカイン(IL-1 β、IL-6)、ACTHを測定した。採血は各群とも術前、返血後1時間(無輸血群では手術終了時)、術後1日目、術後7日目、術後10日目に行った。自己血輸血および採血は、患者に十分な説明をし同意を得たうえで行った。 今回、貯血式自己血輸血および希釈式自己血輸血を行った症例について検討したところ 1.炎症性サイトカインおよびACTH値はともに返血後1時間に最も上昇した。 2.ACTH値は術後1日目には、術前値近くまで低下した。 3.IL-6値は術後1日目に、返血後1時間の値より低下するものの、術前値よりは有意に高く、術後10日目ではほぼ術前値と同じまで低下した。 4.IL-1β値はあまり変動は見られなかった。 また、貯血群と希釈群とで比較したところ、返血後1時間でのIL-6値は貯血群に比べ希釈群で有意に高く、術後1日目でもその値は低下しているものの希釈群で高い傾向を示した。これは、希釈式自己血の採血自体が、生体への侵襲となり、炎症性サイトカインが増加したのではないかと考えられた。今後は、無輸血症例の検討を加え、自己血輸血症例との比較を行う予定である。
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