1998 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節内障患者のMR画像評価に関する基礎的研究-屍体顎関節のMR画像と組織標本の比較検討-
Project/Area Number |
09771806
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
豊田 長隆 鶴見大学, 歯学部, 助手 (80257344)
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Keywords | 顎関節 / 系統解剖実習用屍体 / MR画像 |
Research Abstract |
近年,顎関節における症状を主訴に来院する患者は増加の傾向にある.顎関節症のうち,最も頻度の高いのは現行分類での関節円板障害である.一方,顎関節における画像診断の進歩はめざましく,とくにMR画像検査は外科的侵襲を加えることなく任意の方向より観察可能なことから臨床応用されるようになってきた.本研究は,MRIが顎関節の構造や組織変化をどのように描出しているのかを解明するためになされたものであり,まず系統解剖実習用屍体50体の矢状断・前頭断MR撮像を行った.対象は男性24体,女性26体の計50体,平均年齢は80.5歳であった.得られた100関節のMR画像より関節円板の形態および位置,下顎頭の形態および骨変化について検討した. 矢状断MR画像において,関節円板の転位が16体(32%)25関節(25%)に認められた.関節円板の形態は,ほとんど(86関節,86%)においてbiconcaveであった.下顎頭の骨変化は17体(34%)20関節(20%)に認め,そのうち9関節はconcavityであった.前頭断MR画像における下顎頭の形態分類(Yale、1969)は,56関節(56%)においてconvex Typeであった.以上のMR撮像の結果は,これまでの臨床報告とほぼ同様の結果であった. 次に,MR画像において病変が認められなかった1関節,病的所見を示した4関節の顎関節を摘出した.MR画像と組織切片を対応させ,顎関節の構造や変化をMR画像がどのように描出しているのかを検討した.下顎頭中央部における関節円板および下顎頭の位置,形態の概形は良好な再現性が得られた.しかし,関節軟骨と軟骨下骨の判別は困難であり,関節軟骨の肥厚や消失についての情報はMR画像では得られなかった.設定したスライス厚内に内側極が含まれる場合,下顎頭のMR画像としての描出は不確かなものであり臨床応用に際し注意が必要であると思われた.
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