1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯の萌出を誘導する骨吸収因子:歯胚由来細胞による破骨細胞形成について
Project/Area Number |
09771830
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 正良 大阪大学, 歯学部, 助手 (20244717)
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Keywords | 歯の萌出 / dental follicle / 破骨細胞 / conditioned medium / 細胞培養 / c-fms / 免疫組織学 |
Research Abstract |
1.Dental follicle由来細胞培養系の確立 生後6〜7日齢S.D.ラットの下顎骨から第1・2臼歯歯胚を摘出し、dental follicle cellを分離培養した。2〜3回の継代後dental follicle cellは、旺盛な増殖能を有し、紡錘形で線維芽細胞様の形態を呈していた。 2.Dental follicle cellの破骨細胞形成誘導能について 1で得られた細胞のconditioned mediumを採取し、マウスの骨髄細胞培養系に添加して、破骨細胞の形成能を有しているかについて検討した。10nM1,25(OH)_2D_3添加α-MEM中では、培養7日目で13.7±10.6/wellのTRAP(十)多核巨細胞の形成が認められたが、培養14日目では6.0±4.7/wellに減少した。Conditioned mediumを添加すると培養7日目で14.2±11.6/well形成されたTMAP(十)多核巨細胞が、14日目では、74.0±24.3/wellに増加した。Conditioned mediumによる破骨細胞形成促進は、濃度依存性であった。この結果、dental follicle cellから得られるconditioned mediumは、骨髄細胞からTRAP(十)多核細胞の形成を促進する効果が認められ、強力な破骨細胞形成促進因子を産生していることが示唆された。 3.CSF-1 reseptor(c-fms)について CSF-1は、破骨細胞形成に必須な因子であり、歯の萌出に必要な骨吸収との関係が示唆されている。そこで歯の萌出時におけるCSF-1の作用を検討するため、歯胚形成期から萌出期(生後0〜7日齢)のラットの歯胚に免疫組織学的染色を行い、歯胚におけるCSF-1の作用部位の検討を行った。この結果、CSF-1のreceptorをコードする遺伝子c-fmsが、歯胚周囲のTRAP陽性の破骨細胞に局在して認められた。しかも生後3日目をピークとして歯の萌出に伴い、c-fmsの発現は経時的に減少することも明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kawakami,M.: "Orthodontic treatment of a patient with hypophosphatemic vitamin D-resistant rickets." ASDC Journal of Dental Children. 64.395-399 (1997)
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[Publications] 川上正良: "小特集/歯の移動を再考する 歯の移動をもっと早くできないか?" ザ・クインテッセンス. 16(4). 127-130 (1997)
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[Publications] 川上正良: "臨床反対咬合" 医歯薬出版, (1997)