Research Abstract |
Capnocytophaga属には3菌種あり,敗血症の原因菌であるといわれている。敗血症の治療には抗菌剤が使用されるが,本属の細菌の抗菌剤感受性試験は属での報告のみである。我々は,性質の異なる2新種を同定した。本研究は,2新種を含めた種レベルでの抗菌剤感受性を試験し,種間の比較を行うことを目的とした。本年度は,対象菌株,試験用培地と抗菌剤の選定,そして播種用菌液の調整のための予備実験を全て終了した。 Capnocytophaga属の標準菌株5株,臨床分離株7株,対照株としてE.coli ATCC29922を用いた。まず,抗菌剤感受性試験用培地の選定を行った。Gifu Anaerobic Medium(GAM)agarでの対象菌株のコロニーは,Mueller-Hinton agar,Brain heart infusion agar,Trypticase soy agarよりも大きい傾向がみられたので,GAM agarを試験用培地とした。GAM brothを菌液調整用培地として対象菌株を48時間嫌気培養し,培養液の濁度と生菌数の関係をグラフ化した。いずれのグラフでもOD1.0付近まで直線性が得られた。抗菌剤は,臨床で使用され,しかも作用機序が異なるもの(ペニシリン,セファレキシン,セファクロル,セファゾリン,トブラマイシン,カナマイシン,テトラサイクリン,エリスロマイシン,クロラムフェニコール,バシトラシン,ポリミキシン,ナリジクス酸,オフロキサシン)を選んだ。 来年度は,本年度の予備実験をもとに対象菌株の菌液を調整し,選択した抗菌剤を含んだ試験用培地(GAM)に播種して,対象菌株の最小発育阻止濃度を求める予定である。
|