1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織におけるシンデカンの発現および変動に関する研究
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09771833
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島津 篤 広島大学, 歯学部, 助手 (10274094)
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Keywords | 歯根膜細胞 / シンデカン-1 / シンデカン-2 / シンデカン-4 / RT-PCR法 / ノーザンブロット法 / アルカリホスファターゼ活性 |
Research Abstract |
ヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸は歯肉、歯根膜、歯槽骨の主要な細胞外基質成分で、歯肉溝滲出液中にも見い出されている。シンデカンは、1988年にBernfieldらのグループによって発見された新規のプロテオグリカンで、ヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸を側鎖にもつ細胞膜貫通型のコア蛋白質である。現在シンデカンは4種のサブタイプが知られているが、ヒトにおいてはシンデカン-1、-2および-4の3種の塩基配列が明らかにされている。 今回、ヒト歯周組織から単離した培養歯根膜細胞培養系から総RNAの試料を用いてヒトシンデカンmRNAの発現をRT-PCR法およびノーザンブロット法にて検出し、その発現を比較検討した。さらに分化過程でのシンデカンの変動を検討するため細胞を25日間培養し5日毎に総RNAの抽出を行い、シンデカンの発現をノーザンブロット法によって検出した。同時に細胞分化の指標としてアルカリホスファターゼ活性の測定も行った。 RT-PCR法によって2.3kbのシンデカン-2、2.6kbのシンデカン-4mRNAが検出できたが、シンデカン-1mRNAの発現は確認できなかった。歯根膜細胞はアルカリホスファターゼ活性を経時的に増加させ20日後最高に達した。これらの細胞から逐次総RNAを抽出しノーザンブロット法を行うと培養5、10日目の細胞はシンデカン-2、-4を高レベルに発現していたが、20、25日目ではそれらの発現レベルが低下していた。 以上の結果から、歯根膜細胞はシンデカン-2および-4を高レベルに発現していることが判明した。さらに細胞分化に関連して、これらの発現レベルが変動することが明らかとなった。これらの結果は歯根膜細胞の機能を追求する上で新たな展開を示すものと思われる。
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