1998 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィロモナス・ジンジバリスの宿主細胞に多々慰する接着・障害機構の解明
Project/Area Number |
09771839
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉岡 昌美 徳島大学, 歯学部付属病院, 講師 (90243708)
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Keywords | ポルフィロモナス・ジンジバリス / ヒト歯肉線維芽細胞 / 細胞毒性 / 細胞接着 / トリプシン様酵素 |
Research Abstract |
本年度は、Porphyromonas gingivalis ATCC 33277及びその血球凝集活性欠損株であるM2株、M3株の外膜小胞(OM-V)を用いてヒト歯肉線維芽細胞(HGF)に対する細胞毒性を調べた。細胞のViabilityを調べるために行ったWST-1 assayの結果、5μg/mlのOM-Vを作用させたHGFの脱水素酵素活性は、ATCC 33277株でコントロールに比べて50%程度、M3株では約30%の活性低下を認めたが、M2株では活性低下を全く認めなかった。トリパンブルー色素排除試験および形態学的変化の評価は25、50μg/mlのOM-Vを作用させて行った。その結果、ATCC 33277株では生細胞率が各々86.4%、63.3%にまで低下したが、M2株では各々94.8%、91.4%とわずかな低下しか認められなかった。また、M3株はATCC 33277株とほぼ同じ数値を示した。形態学的変化は、ATCC 33277株で両濃度ともHGFの半数以上が球状化し、M3株では一部の細胞が球状化し、M2株では全く影響しなかった。以上のことから昨年度に報告したDNA断片化や細胞凝集活性と同様、細胞毒性活性もATCC 33277株では強く認められるもののM2株では殆ど認められないことが明らかとなった。各OM-V標品についてP.gingivalisのトリプシン様酵素の1つであるPase-Cの存在をウエスタンブロッティング法を用いて調べたところ、M2株にはPase-Cが検出されなかった。予備実験の結果、本菌の産生するトリプシン様酵素には細胞凝集活性を示すものがあり、本研究においてもトリプシン様酵素活性と細胞凝集活性、細胞毒性活性の間には強い関連が示唆されたことから、本菌の細胞接着、障害作用の主役をなすのは例えばPase-Cのようなトリプシン様酵素ではないかと考え、現在検索を進めている。
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[Publications] Yoshioka,M. et al.: "Influence of Porphyromoras gingivalis on Cuffured Human Gingival Fibrablasts." J.Dent.Res.77SI. 858- (1998)
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[Publications] 三木修他: "ポルフィロモナス・ジンジバリスの血球凝集活性欠損株を用いた細胞毒性活性の比較検討" 口腔衛生学会雑誌. 48(4). 604-605 (1998)
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[Publications] 吉岡昌美他: "歯周病原菌の病原因子による細胞着性活性測定性についての検討" 口腔衛生学会雑誌. 48(4). 412-413 (1998)