1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌の多糖抗原に特異的な単球レセプター阻害剤の開発
Project/Area Number |
09771843
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 登 九州大学, 歯学部, 助手 (00230368)
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Keywords | 歯周病 / 莢膜様多糖抗原 / リポ多糖 / オプソニン化 / 補体 / 免疫担当細胞 / 活性酸素産生能 / バイオセンサー |
Research Abstract |
本研究では、ヒトPMNsによるAa菌体の貧食抵抗性メカニズムを解明するためにヒト補体成分によるAa菌体のオプソニン化におけるSPAやリポ多糖(LPS)の影響を酵素免疫測定法(ELISA法)と表面プラズモン共鳴バイオセンサー(BIAcore)を用いて調べた。AaY4株(血清型b)と同菌にトランスポゾンTn916を導入して分離したSPA欠失株(ST2,ST5株)を用いた。まず、これらの菌体によるヒトPMNsの活性酸素産生能を測定し比較した。次に、これらの菌体とヒト血清を反応させ、ヒトC3bに対する抗体を用いたELISA法で補体成分結合能を測定した。また、ヒトC3bとSPAやLPSとの相互作用をBIAcoreを用いて測定した。SPA欠失株は、ヒトPMNsの活性酸素産生能とヒト補体成分の1つであるC3bの結合能がY4株に比べて顕著に高かった。また、補体成分の非存在下やヒトC3bを除いたヒト血清を用いた場合、いずれの菌においてもヒトPMNsによる活性酸素産生能は誘導されなかった。さらに、BIAcoreによる解析では、AaY4株のLPSはヒトC3bと非常に強く結合したが、SPAはC3bに全く結合しなかった。これにより、ヒトPMNsによる活性酸素産生能はヒト血清中の補体成分が必須の反応であり、Aa菌体表層におけるオプソニン化に依存していると考えられる。SPA欠失株では、ELISA法とBIAcoreによる解析の結果からLPSが菌体の最表層に露出した表層部に多くのC3bが結合して、ヒトPMNsによる活性酸素産生能が促進されていることが示された。一方、親株ではSPAの存在によりC3bなどの補体成分の結合が妨げられて、活性酸素産生能が低くなっていると思われる。Aaの莢膜様多糖抗原は、C3bのリポ多糖などへの結合を妨げ、菌体のオプソニン化を阻害していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)