1997 Fiscal Year Annual Research Report
物理的刺激が骨芽細胞と破骨細胞に及ぼす影響-情報伝達系に対する分子生物学的検討-
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09771844
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小牧 憲明 長崎大学, 歯学部, 助手 (00253675)
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Keywords | 遠心力負荷 / パルス電磁場刺激 / ヒト由来骨芽細胞様細胞 / 破骨細胞 / Prostaglandin / 細胞内情報伝達経路 / 石灰化能 / 骨吸収能 |
Research Abstract |
1)骨芽細胞はヒト正常皮質骨より初代培養法にて採取した。破骨細胞は、1,25(OH)_2D_3を添加してマウス由来骨髄細胞を培養し、形成させた。 2)力学的刺激:500から1500回転の遠心力を12時間ごとに20分間負荷した。電気的刺激:0から7ガウスのパルス電磁場を連続的に負荷した。 3)各種細胞内情報伝達経路の特異的阻害剤を添加し、反応性の変化を検討した。 4)骨芽細胞の評価:ALPase活性、BGP産生能を測定し、分化過程を評価した。さらにVon Kossa染色を施し、石灰化量を測定した。破骨細胞の評価:TRACP染色を行いその形成数を測定し形成能を評価した。さらに破骨細胞をdentine slice上で培養してその吸収窩を染色し、吸収面積を測定した。 5)結果ならびに考察:遠心力負荷により、骨芽細胞のALPase活性、BGP産生能は強度依存的に上昇したが、石灰化能に顕著な変化は認められなかった。また、破骨細胞形成能と吸収能にも変化は認められなかった。パルス電磁場負荷により、骨芽細胞のALPase活性は強度依存的に上昇したが、BGP産生能は抑制された。骨芽細胞の石灰化能ならびに破骨細胞の形成能と骨吸収能は、わずかに上昇する傾向が認められた。骨芽細胞培養系にindomethacinを添加すると、濃度依存的に物理的刺激に対する反応性が減少した。また、Calphostin Cを添加しても変化は認められなかった。以上の結果から、物理的刺激は、骨芽細胞の分化を促進すること、この反応にprostaglandin産生が関与しており、protein kinase Cは関与していないことが示唆された。破骨細胞培養系に顕著な変化は認められなかったが、prostaglandin産生が関与していたことから、骨芽細胞を介して応答している可能性が示唆された。また、両刺激により骨芽細胞が異る反応性を示したことから、反応経路が異る可能性も示唆された。来年度は、反応経路の違いや細胞内情報伝達物質について、ノーザンブロッティング法を用いさらに詳細な検討を加えて行く予定である。
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