1997 Fiscal Year Annual Research Report
牽引力による成熟破骨細胞のアポトーシス誘導機構の解析
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09771846
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小林 泰浩 長崎大学, 歯学部付属病院, 助手 (20264252)
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Keywords | 牽引力 / 歯の移動 / 破骨細胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
歯の移動時に牽引側で観察される破骨細胞のアポトーシスの誘導機構に関して、実験を行った。in vivoの実験では、歯の移動後1日および2日目のパラフィン切片を作製し、一酸化窒素(NO)合成酵素であるNOS、プロスタグランディン合成酵素であるCOX,ならびに骨吸収刺激因子であるTNF-α,破骨細胞形成に必須のサイトカインであるM-CSFに対する抗体を用いて、免疫組織学的に検索を行った。さらに、破骨細胞のアポトーシスを誘導することが報告されているサイトカインであるTGF-βのin situ hybridazationを行った。 その結果、歯の移動前と比較して、移動後1日目、2日目では、endothelialNOS(eNOs)の発現が牽引側の骨表面の細胞に強く認められた。また、TGF-βもeNOSと同様の部位に強く発現していることが、明らかとなった。TNF-α,M-CSFに関しては、牽引側で、その発現の著明な減少は認められなかった。以上から、牽引力による破骨細胞のアポトーシスには、NOならびにTGF-βが一部関与している可能性が示唆された。 次に、培養破骨細胞を用いて、NOが破骨細胞のアポトーシスを誘導するかを確認した。NO発生剤として、NOC18(dojin)を用いた。ビタミンD3およびプロスタグランディンE2存在下で、6日間マウスの骨髄細胞と頭蓋冠由来の骨芽細胞様細胞を共存培養し、破骨細胞様細胞を得た。この破骨細胞を象牙切片上に播種し、0mMから1mMまでの用量でNOC18を添加した。その結果、100μM以下の濃度では破骨細胞のアポトーシスはほとんど誘導できなかった。 しかし、400μM以上では、約80%の破骨細胞がアポトーシスを起こした。さらに、牽引側歯周組織において、高濃度のNOが産生されているか、検証する必要があると思われる。
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