1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771858
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
国分 美和子 奥羽大学, 歯学部, 助手 (20195704)
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Keywords | 高密度再石灰化液 / 紫外域レーザー / エナメル質 / 光化学反応 |
Research Abstract |
エナメル質の再石灰化による修復を目的として,紫外域レーザー光の照射下でCaとP濃度を通法の約8〜12倍程高めた高密度再石灰化液を作用させ,再石灰化反応の促進と同反応領域の拡大に及ぼす光化学的な影響を解析した。材料はヒトの抜去大臼歯(永久歯)の頬・舌側面表層の約200μmを粗研磨後,#600エミリーペーパーとPOLISHING CLOTH(研磨剤;0.05μm ALUMINA)で磨き,一対のエナメル質片を作製した。これを0.1M乳酸緩衝液(含0.3mM-HAp,pH4.5)で人工脱灰を行って,一方を同時作用群(再石灰化液とレーザー光照射),他方を対照群(再石灰化液のみ)とした。再石灰化液のCaとPの濃度は,通法の3.0mMと1.8mMに対し,I液(36mMと21.6mM),II液(30mMと18mM),III液(24mMと15.8mM)とし,さらに5ppmF^-を加えたものとも比較した。紫外域レーザーは,QスイッチYAGレーザーの第4高調波から得られる266nmの波長を用い,その照射条件を70mJ/cm^2,2000shotsとした。 エナメル質片表層の顕微鏡像およびSEM像は,同時作用群で通法の再石灰化液を除くI〜III液に再石灰化反応によると考えられる堆積物が観察された。なかでも,II液のF^-なしの場合で最も顕著な堆積物が認められ,以下II液のF^-あり,I液のF^-あり,I液のF^-なし,III液のF^-なし,III液のF^-ありの順であった。また,堆積物を微小部X-ray回折で同定したところ,Hydroxyapatite[Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2]とCalcium Phosphate Hydrate[Ca_3(PO_4)_2・xH_2O]の結晶を認めた。さらに,同時作用群と対照群を人工唾液に浸漬(48hr.)後,それぞれの耐酸性を測定したところI〜III液の同時作用群が対照群に比較して顕著に向上した。また,高密度再石灰化液による耐酸性向上は,通法のそれに比較しいずれも良好な結果を示した。
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[Publications] 国分 美和子: "高密度再石灰化液のエナメル質作用時におけるエキシマレーザー光照射" 口腔衛生学会雑誌. 47・4. 636-637 (1997)
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[Publications] Kenji Kusunoki: "The Effect of Phosphate Anion Fluoricle Uptake of Enamels Irradiation with Excimer Laser" Dentistry in Japan. 35(in print). (1999)