1998 Fiscal Year Annual Research Report
実験的な歯の移動とその後に起こるリラプスに関する組織学的解析
Project/Area Number |
09771860
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小澤 浩之 昭和大学, 歯学部, 助手 (00224220)
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Keywords | tooth movement / relapse / orthodoutic treatment / Waldo / osreoclast |
Research Abstract |
ワルドー法によるラット臼歯の矯正学的な歯牙移動後の後戻り過程を、微細構造学的に解析した.実験では、矯正用顎開ゴムを上顎第一・第二臼歯間に挿入し、7日ないし21日後に除去して第一臼歯の後戻り過程を調べた。第一臼歯の後戻り過程は、7日間ゴム挿入の場合はゴム除去1日後ないし4日後に観察し、21日間ゴム挿入の場合はゴム除去5日後ないし10日後に観察した.7日間ゴム挿入後の第一・第二臼歯間距離は158μmであったが、ゴム除去1日後には44μmに減少し、4日後には16μmに減少した。ゴム挿入によって圧迫された歯根膜には、部分的に硝子様変性ならびに石灰変性が生じていた.第一臼歯の後戻り過程では、牽引側に相当する歯根膜に径約2.4μmの主線維が不規則に配列していた.ゴム除去1日後および4日後には、破骨細胞、マクロファージ、線維芽細胞様細胞が、牽引側に相当する歯根膜中の硝子様変性組織の周囲に分布し、また歯根膜中には径約3.8μmの主線維が規則的に配列していた.21日間ゴム挿入後の第一・第二臼歯間距離は526μmであったが、ゴム除去5日後には108μmに減少し、10日後には71μmに減少した。ゴム除去5日後には、圧迫側に相当する歯根膜に面する歯槽骨表面に、多くの破骨細胞が均一に分布し、牽引側に相当する歯根膜には径約3.5μmの主線維が不規則に配列していた.これらの観察結果は、ラット臼歯の矯正学的な歯牙移動後の後戻り過程において、(1)歯根膜および周囲の歯槽骨の急速な改造が歯の後戻り現象の主たる要因となること、および(2)歯根膜への加圧刺激によって生じる硝子様変性ならびに石灰変性は、破骨細胞、マクロファージ、線維芽細胞様細胞によって急速に吸収されることを示唆している.
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